日々雑感
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横浜に住む友人の家へ遊びに行く。彼女はリサイクルショップや雑貨屋、骨董店などを覗いては「物」と出会う名人だ。そんなふうにして見つけられ、ペンキを塗ったり、新しい組み合わせを考えたりされた「物」たちが居心地よさそうに部屋におさまっている。懐かしい木製の食器戸棚や少しヒビの入った器。みな、あるべき場所にあるという感じ。人間のほうも居心地がよくて、気づくとつい長居している。
珍しいお酒が次々と出てきて、それを飲みつついろんな話をする。ジンにレモンを搾ったやつから始まり、ブルガリアのプラムから作られた蒸留酒・ラキア、椰子の実の風味がするアラック、スミノフという名のウォッカ。どれも一癖あるが美味しい。そして、みんなアルコール度数が高い。いい具合にアルコールがまわる。
帰りは彼女とご主人とに駅まで送ってもらう。電車に乗ると、大きな花束を抱えた着物姿の女性が一人で立っていた。電車などで花束を持っている人を見ると、いつもいろいろと想像してしまう。花束というのは普通ではない何事かがあった印であるから。
終電間際の地下鉄で、花束を持ったスーツ姿の男性を見たことがある。五十代くらい。満員の車内で、その人はひとり花束を抱えていた。何があったのだろう。何かのお祝いか。送別会か。送別会といってもいろいろある。おめでたいものもあるけれど、ひょっとしたら辛い送別会かもしれない。ひとりきりで抱えている花束。できれば、それが本人にとって嬉しいものだといいと思った。辛いときの花束は、その気持ちを増幅させるような気がする。
一度だけ友人から花束をもらったことがある。名前は知らないがオレンジ色のきれいな花で、うれしくて帰宅後すぐに部屋に飾った。数日後、その友人から「ごめん!」との電話。ひょんなことから、その花の花言葉が「軽蔑」だとわかったらしい。初花束の思い出。
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