日々雑感
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象の夢を見る。場所はどこか南の国らしい。よく晴れて、空も海も真っ青である。水平線近くに入道雲がわいている。海も空も雲も木々も、名前を知らない赤い花も、とにかく色彩が濃く鮮やかで、輪郭がくっきりしている。
自分は高台になった場所から海を眺めている。すると、急に海がざわめき、波間から象が現れた。大きな象。全身が見えて砂浜へ上がったと思うと、また一頭、同じくらいの大きさの象が現れる。そんなふうにして、次々と象が海からやってくる。人間が見てはいけないものを垣間見てしまったような、圧倒的に美しい光景だった。
いろんな夢を見る。特に今回のように印象的な夢を見たときは、誰かに教えたくて仕方なくなる。けれど、自分ではものすごく面白いと思って興奮していても、誰かに向かって話し始めたとたん、ひどくありきたりで凡庸な、いわゆる「だからどうした」というものになってしまう。夢というのは、誰かに伝えるために形(主に言葉)を与えたとたん、その魔力を失ってしまうのかもしれない。あるいは、あまりに個人的な物語なのか。
夢からインスピレーションを得て作品にする人がいる。例えば、川上弘美の『椰子・椰子』という作品は、彼女が見た夢日記をもとにしているらしい。訳のわからないものがたくさん出てきて、目を眩まされる世界。混沌としていながらある秩序があって、とんでもない設定ながら不思議に説得力を持っている(川上さんの短編集『神様』にも同じようなものを感じる)。誰に対してもその説得力を通用させる力というのは何なのだろうと思う。
夜、世界各国のビールを揃えているという店に行く。一度も飲んだことのないものにしようと思い、ギリシャとチェコのビールを飲む。どちらも味が濃くておいしい。冷やしすぎてないものいい。ビールはぬるいのが好きだ。
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