日々雑感
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帰省。夜明け前に新幹線に乗り、お昼前に地元の駅に到着すると吹雪で大荒れ。ニュースによると、瞬間最大風速30mを越えていたらしい。駅から実家までは車で一時間弱だが、途中強風にとられて車体が揺れるわ、吹雪で数メートル先も見えないわ、看板や折れた木の枝がバンバン飛んでくるわで大変だった。松の木やポプラが、根こそぎ倒れたり、真ん中から折れたりしているのも何本も見た。
見ると、信号が止まっている。イヤな予感をおぼえつつ家に着くとまさしく停電。電気機器は全部止まっている。いちばん困ったのは暖房器具だ。家にあるのはすべて電気を使ったストーブなので、それらが全滅となっては寒くて氷点下の家の中にはいられない。「まあ、1、2時間で戻るでしょ」と軽く考え、ヒーターをつけた車内に食べ物を持ち込み、お茶など飲むがなかなか復旧しない。
町の様子を見に行くと、信号は止まったままだが、特に問題やパニックが起こることもなく、普通に車は走っている。お店は軒並み真っ暗で、「停電のため閉店」の貼り紙。その中で一軒のホームセンターが開いており、人だかりが見える。入ってみると、真っ暗な中レジにろうそくを置いて対応中だ。根性。(あとで聞いたところによると、町の小さな電気店は、懐中電灯や電池、電気を使わない反射式ストーブなどが飛ぶように売れて大儲けだったらしい)
実家のある地区を中心に、8万戸以上の停電は、結局夜の12時近くまでつづいた。何本もろうそくを置き、親戚から借りた石油式のストーブを家族で囲む。テレビもなく、音楽もなく、何しろ暗くて寒いのでその部屋から動けない。外も真っ暗で静まり返っている。ふだん、電気にどっぷりとつかった生活をしていることを再確認する。
そして、灯りが何もかも消えてしまうと、夜の質が変わる。深い真っ暗闇。すぐそこに何が潜んでいるかもわからず、夜の怖さを実感する。そんな中で、外を見ると大きな月が出ていて、その明るさに驚いた。月の光で雪の上に影ができている。かつて、夜がほんとうに暗かった頃、人々はどんな気持ちで月の光を見上げただろう。
暗くて寒い夜、自然と暖房の周りに人が集まり、することと言えば話すこと。そして、早いうちに眠りについて、太陽と共に目覚める。いつも、実はなくともよいものを身の周りにいっぱいくっつけて生活しているのかもしれないと思わされた一日。
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