日々雑感
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2002年01月17日(木) 受賞コメント

芥川賞と直木賞が発表される。芥川賞が長嶋有『猛スピードで母は』、直木賞が山本一力『あかね空』と唯川恵『肩ごしの恋人』。2億円の借金を抱え、「普通に勤めては、とても返せない。」と一念発起して小説を書き始めたという山本氏のエピソードもすごいが(作家はそんなに儲かるのか)、讀賣新聞「顔」欄に載っていた長嶋氏のコメントがよかった。

受賞作は「幼少年期を過ごした北海道の海沿いの小都市を舞台に、エネルギッシュに生きる母親を、小学生の息子の視点から描いた短編」。この作品について、長嶋氏は「そこにいるだけで、世界が肯定されるような存在を描きたかった」と言っている。とてもシンプルで、まっとうで、なのに、ないがしろにされてる感覚だと思う。彼の作品を読んでみたくなった。

その長嶋氏、川上弘美さんとは俳句仲間だという。好きな作家と仲が良いと聞くと、それだけでますます興味がわく。その川上弘美さんが『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞を受賞したときのコメント。これは朝日新聞から。

「私は深刻なことを深刻な風には書きたくないんです。いつも、くすくす笑いがあるようにしたい。」

これも、ああいいなと思った。自分自身、必要以上に深刻ぶったり、大げさに語ったりするところがあるだけに、こうした佇まいにものすごく憧れる(川上さんの本を読むと「面白うてやがて悲しき」という言葉がいつも浮かぶ)。

夜、小松菜が安かったので買ってくる。おひたしにする。「小松菜はかなり身体にいいらしい。」と力説していた友人の顔を思い出しつつ食す。


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