日々雑感
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2003年11月05日(水) 流れる

ここにいると、砂時計が目の前に置かれているかのように「時間の流れ」を強く感じる。ひとりひとりに与えられた時間の量はあらかじめ決められていて、それが尽きてしまうとき自分もいなくなる。古い写真、子どもの頃クリスマスにもらったプレゼント。そうしたものを大事に大事に仕舞っていた老夫妻。あるいは、今まで暮らしてきた様々な国や街の物を家中に置き「ここは『思い出の家』なんだ」と言っていたおじいさん。過ぎ去っていった時間、残された時間、直視するのは怖い気がするけれども、それを受け止め、そのうえで過ごしているような印象を受ける。かといって、悲壮な感じだというわけではない。もっと静かに、いずれ尽きてしまう時間を慈しんでいる。

時間に対してそんなふうに感じたことは、あまりなかった。「流れ去る」というよりは、もっとゆるゆるとしたもののように思っていた。例えば、古い街並を残したり、壊れた部分は何故そこまでと思うくらいに修復したり、それは「古い物を大切にする」というだけではなく、時間に対する感覚そのものがきっと違うのだろう。それとも、帰る期限が決まっている自分の今の状況がそんなふうに思わせているだけか。

夜、なつかしい人からメール届く。不意に届く便りはいつも嬉しい。


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