日々雑感
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2004年03月31日(水) 時は流れる

電話にて研究室の教授が他の大学へと移動することを聞く。まるで予想していなかっただけに驚いた。

担当教官というわけではなかったが、何かと気にかけてくれた人だった。専門の対象が違うこともあって直接指導を受けることは少なくなっていたけれども、お酒の場ではなぜか近くの席になることが多かった。その度に、論文の内容だとか何とかについてさんざん言っておいて、けれども最後にはいつも、他のテーブルにいる担当教官を指しながら「あいつをびっくりさせるようなもの書いてみろ」と笑うのだ。いちばんきついことを言うのも、もう少し踏ん張ろうと思うきっかけをくれるのも、どちらもこの先生だった。

帰る頃には、もうそこに彼はいない。いつかこの人にだけは認めてもらえるようなものが書きたいと思って続けてきたけれども、何かひとつ、大きな波が過ぎていったような気がする。自分も先に進まなければいけない。いつまでも同じところにはいられないのだ。

明日から四月。昨年のうちに友人が送ってくれたカレンダーをめくると、小学校の入学式の光景。小さな子は父親の腕を両手でしっかりと握っている。花咲き始めるこの季節を、この子がやがて笑いながら思い返せますように。あんなに心細いこともあったかと。


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