たまに××したり。
INDEXこれまで。それから。


2005年03月01日(火) 親孝行。

あたしは父が嫌いだ。
どうしても許すことができない。
仕事で腰を痛めて、そのことでの苛立ちからか、酒に溺れ、そのためにまた、身体を壊し、と言った悪循環で、我が子に話しても信じてもらえないような貧しい暮らしを余儀なくされた幼少時代の記憶は、消そうにも消せず、酔っ払って怒鳴る父と、それを非難しこそすれ、そこからあたしの存在を理由に逃げることもなく、延々と愚痴をこぼし続けた母の姿ばかりが思い出され、ホームドラマみたいな家族なんて、絵空事にしか思えなかった。

それでも、今になって思えば、休まずに仕事に行き、疲れ果てて帰宅する、その心情は分からなくもない。
怒鳴り散らしていたのも、うまく自分の気持ちを伝えられない不器用さだったのかもしれない。外面が良かったから、家に帰るとその反動で不機嫌になったのかもしれない。
多分、かわいそうな人だったのだ。

ふとカレンダーを見ると、うっかりしていた。父の誕生日だった。
その昔の田舎のことで、戸籍の記載が間違っていた、とかで、実際生まれた年と1年違うとのことで、本当は去年の誕生日が77歳だったような気もするが、戸籍にのっとって今年を77歳と言うことにしてもらおう。
母の誕生日の時はジャンパーを贈ったが、父には何を贈ったらよいだろう。
そういえば、あたしが高校生の時に初めて棒針を使って編んだ鹿の子編みのベストを愛用してくれているが、あまりよい糸は使ってないし、ベストなら何枚あっても家でも外でも着られるし、3シーズンは着られる、と思い、カシミアのベストを贈ることにした。
出勤前に急いで買い、配送の手続きをした。
翌日、母から届いた、と電話があった。

「お父さんもありがとうって」

自分でかけてくりゃあいいのに、とも思ったが、それはそれで居心地悪いことになりそうだ、と思ったあたしの耳に、

「ありがとう!」

聞き慣れた、ぶっきらぼうな怒鳴り声が聞こえてきた。


↑エンピツ投票ボタン。ないよりはあったほうが励みになります。何回押しても1日1票。
My追加

あたしのマイは非通知です。


INDEXこれまで。それから。

うらら |あばら家足跡恋文

My追加