今夜は映画『ホテルビーナス』を観て帰ってきた。
チョナン・カンの映画といえば、「ああ」という人も多いんじゃないだろうか。先週末の公開なので、いま強力にプロモーションしている。
この映画の脚本を、麻生が書いている。しかも麻生はそれをノベライズして『ビーナスブレンド』という本も出した。火曜日に買って、映画を観る前に一気に読んだ。
こういう、「お話」を世に送り出す人は、必ずいてもらわないと困る。僕らはいつも、「お話」に触れたいと思って生きている。自分の内側を震わせてくれる「お話」に、いつも巡り合いたいと願っているのだ。
僕はそれを与えてくれる人に感謝する。麻生に限らず、そういう「お話」をしてくれる人を見つけたとき、僕はうれしい気分になる。本でも映画でもいい。その前では自分の内側の服を一枚脱いで、肌で風を感じることができるから。
「お話」は言葉でできている。ひとつひとつの言葉が紡ぎ合わされて、「お話」となるのだ。だから言葉を大切にしている人の「お話」は、随所で、響く。
『ビーナスブレンド』には「麻生節」ともいえる言葉がたくさん出てくる。ノートにメモしておきたくなるような、素敵な言葉たちだ。数行抜き出しただけでも、一つの作品として成立するようなものも多い。これは別の機会にでも紹介したいと思う。
映画『ホテルビーナス』は本を読んでから観に行ったわけで、ストーリーはだいたい分かっていた。それでも、泣けた。この「お話」の賞味期限は、一回だけではないのだろう。
とまあベタ褒めしてきたが、この映画で気になってしまったところが一つだけあった。全編韓国語のセリフなので、作品自体には邦画っぽさがない。だから海外の作品のように見入っていたわけなのだけれど、それが災いしてしまったところがあったのだ。さすがの麻生も、これは計算外だったんじゃないだろうか。
気になる人は、映画館へ(笑)。
2004年03月11日(木)
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