「キスをしてあんなに悦んでくれたのはかすみが初めてだよ。」

通俗な場面で。
私達は通俗なキスをした。
其れが余りにも通俗過ぎて。
何だか嬉しくなってしまったのです。
優しく舐めあげる様な彼のキスは。
冷たく閉ざされたあのひとのキスとは全く違った。
体温があった。
舌が動いた。
唾液に濡れた。
きっと此れが本物なのだろぅ。
私の眼が可愛いと言ってくれた。
私の唇は柔らかいと言ってくれた。
私を。
私を知ってくれた。
同時に私も彼を知った。
其れはとても奇跡的な事で。
恐らく此の先。
2度と訪れる事の無い束の間の夢。
目覚めてしまって。
何時か色褪せてしまったとしても。
此の奇跡は私の中の誇りとして。
生き続ける事でしょう。
2004年04月26日(月)

かつて・・。 / 桃色少女

My追加