闇鍋雑記帳
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1970年07月04日(土)

09.10

遅く寝た割には、朝早く目が覚めました。
5時半頃目が覚めてしまったので、どうしようなどと思っていましたが、6時少し過ぎに、看護師さんが巡回に来てくれました。
血圧を測り、体温を知らせた後、術後に入浴できるか尋ねたら、「ちょっと難しいかもしれないから、今ならシャワーが誰もいなくて使えるから、ゆっくり行ってくると良いですよ。」と言ってくれました。
なので、急いでシャワー室に行くと、もう先客がおり、シャワーを浴びておりました。
幸い、2室ありますので、残りの一方に入れさせて貰い、十分浴びることが出来ました。

さっぱりして部屋に戻り、朝食を終えて午前8時。あまりに暇なので、売店に行って、クロスワードパズルの本を買って、問題を解いていました。
わたくしは、スケルトンやナンクロが全然駄目でした。難しい・・・。
そして、午前9時半頃、また例の処置。
どうして何度もこんな痛い目に遭わなくちゃならないんだろう。
理不尽な痛みに耐えなくちゃならないんだろう。
そんな不満ばかりが募ってきます。

そして、昼食。
あまりお腹が空いていないのですが、やっぱり食べようと思えば食べられるという、あまり好ましくない状態。
とりあえず、残さず食べられて良かったと思いました。
そして、また部屋に戻って、クロスワードを解いていると、突然、生暖かいものがジュワッと降りてくるのを感じました。
それがどんどん出てくるので、これはまずいとナースコールをし、破水かもしれないので来てくれと依頼。
ナプキン1枚ではとても足りず、2枚3枚と換えても、すごい量の羊水が出てくるので対応できずに、床まで汚してしまいました。
看護師さんが手伝ってくれて、羊水が収まった頃を見計らって、びしょびしょになった下着を替え、車椅子で処置室に向かいました。
胎児が降りてきた手応えもあったので、見てみると、もう、胎児の一部が出てきておりました。
先生も呼ばれ、そのまま分娩となりました。

産む痛みでも、生きて産まれてくれる痛みなら、どれだけ痛くても耐えられるのですが、死んだ子を産むのは、悲しい絶望の痛みです。
なのに産まなくてはならない。
月満ちて産まれてくる子の方が絶対に大きいのに、自然に産まれるのより痛いのは何故なんだろう。
「頑張ったね。赤ちゃん出たよ!」
と、先生の声が聞こえた時には、何とも言えない気持ちになり、涙が止めどなくあふれてしまいました。
これが生きて産まれてくれていれば、どんなに良かったか・・・。
そう思うと、もう、駄目でした。
ですが、まだ、処置が残っています。
胎盤や羊膜の残りを、子宮から排除しなくてはなりません。
これが残っていると、次の妊娠に差し支えるからです。
これは、誰かがたとえていましたが、「おひつのなかのご飯粒を、シャモジで掻き取っている感じ」そのものでした。
何度も何度も、子宮の中を掻き回していくので、結構な痛さです。
それだけでもかなり辛いのです。
ようやく痛みから解放されたと思ったら、「赤ちゃん、綺麗に出ましたよ。会いますか?」と言います。
今は、とてもそれどころではありません。
なので、「今はやめておきます。」と言って、見ませんでした。

下着を着け、車椅子で病室まで運んで貰い、痛み止めを飲んで安静3時間。
あの痛みは、二度と経験したく無いと思いました。


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