月の輪通信 日々の想い
目次過去未来


2003年05月07日(水) 雨の遠足

先週、雨で流れた小学校の遠足。

今日も朝から曇りがちで、時々ぱらっと小雨もぱらついている。

「今日もだめかなぁ、またもう一回おべんとうか?」

遠足が雨で延期になっても、お弁当は必要。

去年は2回も雨で流れたので、3回もお弁当をこしらえる羽目になった。

毎日入れるアプコの小さな幼稚園弁当と違って、アユコやゲンのお弁当は量も多いし、年に数
回のお弁当だけに、期待も大きい。

ちょっと、気が重いんだなぁ。



新聞の天気予報では降水確率60パーセント。

アユとゲンは遠足と普通授業、二つの荷物を抱えて出ていった。

「今日、遠足やるかな。」

「雨、ぱらぱらしてるよね。」

「でも、私市小の事だから、雨でもいくかも・・・」

子供らの通う小学校はこれまでにも、土砂降りの動物園へ出かけたり、大雨のあとのグラウン
ドでの運動会を決行したり、けっこう雨には強気で挑んでいく。

「山沿いではにわか雨。」と言われると、必ず雨が降る土地柄のせいだろうか。



アプコと園バスに向かう道すがら、果たして、小雨をおしてハイキング道をのぼってくる小学生
の列とすれちがう。

私市小の春の遠足は例年、うちの前の道をとおって付近の身近な山に出かける。

今年も1年生から4年生までの長い列が、今にも降り出しそうな曇天を見上げながらのぼって
いく。

・・・って、もう降ってきてるよ。



「また、難儀なことですわ。」

顔見知りの先生達が、苦笑しながらのぼっていかれる。

にぎやかな子供らを引率していく先生方、途中で降られるのは覚悟の上での決行のようだ。

ほんとに、ご苦労さまな事だ。



ちょうどお昼ご飯の頃、雨は本降り。

大勢で雨宿りするところもない山の上で、子供らはどうしているのだろう。

山の雨は新緑の木々の梢に当たってさわさわと音を立てる。

尺治側の川音と混じって、さわやかな自然のささやき。

好天の日のハイキング客には決して味わえない山の雨の静かな豊かさ。

年に一度くらい、幼い子達が山の雨を経験するのも悪くないわねと思いつつ、引率の先生方の
ご苦労には、心が痛む。



昼過ぎになって、ちょっと早めに降りて来た子供らの列。

頭からぐっしょり濡れて、靴も洋服も泥だらけ。

ずるずると引きずるような足音ながら、子供らは妙に興奮して、元気いっぱいだ。

それに反して、先生方のお疲れの顔。

最後の一踏ん張りの声をかけて下って行かれる先生方には、

「大変でしたね。」

としか、言いようがない。



「ホント、小学校の先生って偉いわ。」

ゲンのどろんこ靴下を洗いながらつくづく思う。

あんなに大勢の子達を連れて、雨の山に登っていく。

いろいろ気を使うことも多いだろうに・・・。

でも子ども達にとっては、雨の中でのお弁当も、濡れて滑りやすくなった山道もきっと強い印象
として、幼い心に残るだろう。

そして、友達と一緒に冷たい雨にぬれてどろんこになった経験は、子供らの間にほのかに暖
かい連帯感を運んでくるかもしれない。



「雨でもGO!GO!」の心意気。

お疲れ笑顔で子供らを引率して行かれる先生方の姿は新鮮だった。

年々、歳をとり、4人の子供らを連れての外出は大変と、億劫になりがちな今日この頃。

まだまだ、頑張らなあかんぜぃ。

背中をぽんと押された気がするのだ。




月の輪 |MAILHomePage

My追加