月の輪通信 日々の想い
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2003年06月09日(月) 「イタイノイタイノ・・・」

アプコ、日本脳炎の予防注射。

幼稚園にお迎えに行って、直接会場に連れていく。

何をしに行くのかは直前までアプコには内緒。ご機嫌さんで車に乗り込んだアプコだったけれ
ど、会場の駐車場までくるとさすがに雰囲気で察したみたい。

「わかっちゃった?」

「うん。」

ちょっとテンションの下がるアプコ。

「かしこかったら、あとで、いちごのジュースね。去年はちびっと泣いちゃったけど、今年は少し
大きくなったから、どうかな。」

「う〜ん、泣いちゃうかも。」

会場には、アプコと同じ幼稚園のお友達がたくさん来ていて、体温測定の段階からすでに大泣
きの子から、はしゃぎすぎて体温の上がってしまった子までいる。

わんわんと大騒ぎの中、アプコは妙に無口になって、神妙に座り込んだ。



アプコの予防接種は日本脳炎の第2期。

親が家庭で受けさせる予防注射はこれが最後、あとは小学校での集団接種になる。

生まれて数ヶ月のオニイを連れて、ポリオの予防接種に出かけた日から十数年、ようやくオカ
アチャンは、お子ちゃまたちの予防接種を卒業する。

4人分の母子手帳を前に、感慨無量。

ポリオ、3種混合、風疹、日本脳炎・・・・

誰が、いつ、どの注射をするんだか、4人分のスケジュール管理は結構大変だった。

就園前の幼い子供らを連れて、混雑する接種会場に行き、汗だくで列を作り、ぎゃーぎゃー泣
く子どもの手を引いて帰る。

何度も何度も繰り返した「お疲れさん」。

一番大変な時には、3人同時に接種と言うこともあって、こうなると看護婦さんにご協力頂いて
の流れ作業だった。



年中さんになったアプコ一人を連れての予防接種はさすがに余裕。

「○○ちゃん、泣いてる。」

アプコが同じ幼稚園の制服の女の子を指さす。

片手で幼稚園児を抱き、片手でベビーカーを押しながら受付に入る若いおかあさん。

「○○ちゃん」は、ここからすでに大泣き状態。おかあさんの手には2冊の母子手帳。

「がんばれよー」

思わず、余計なお世話を掛けたくなるおばさん化した私。



さっさと問診、診察を済ませ、さあ、注射。

たまたま、担当のお医者さんは、私が5回のお産でお世話になった産婦人科の先生だった。

「ああ、お元気でしたか?」

懐かしいお顔に、思わず世間話をしそうになったところで、アプコの注射完了。

あはは、泣いてない。

どさくさに紛れて、あっという間に終わっちゃったみたい。

「おかげさまで子ども達、みんな元気です。この子で、予防接種も卒業になりました。」

先生もご自分が取り上げた赤ちゃんの制服姿にニコニコ、うなずいてくださった。



「オカアチャン、泣かなかったよ!」

得意げに私の手を引くアプコ。

「よっしゃ、いちごジュースだ。」

百円玉を握りしめ、自販機にかけよる。

去年届かなかったコイン投入口に、ようやく背伸びで手が届くようになった。

コトンと出てくる甘いいちごジュース。

「オカアチャン、私大きくなった?」

って、それは、ぐ〜んと伸びた背丈のこと?

それとも、初めて泣かずに受けた注射の事かしら。



「さあ、晩ご飯、買いにいこう!」

晴れ晴れと外に出て、駐車場の車に向かう。

「よーい、どん!」

走り出したとたん、ぽてっとあっけなく転ぶアプコ。

あらら、大泣き。

せっかく注射で泣かなかったのにね。

「イタイノイタイノ、トンデケー!」

この呪文、まだまだ、卒業できない・・かもね。




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