月の輪通信 日々の想い
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雨・・・である。
大雨洪水警報が出てる。
いつもは静かな尺治川が、ごうごう一日中、鳴っている。
明日は地区の夏祭り。
子供会の役が当たっているので、かれこれ2ヶ月近く、私も準備に奔走してきた。
なのに、この雨・・・・。
やむんだろうか・・・・。
私たちの住む私市(きさいち)の村は、昔ながらの旧家の多い「ムラ」である。
新興の住宅も増えて、「地の人」の割合も幾分少なくなってはいるが、自治会活動や祭りともな ると、「地の人」達は俄然元気だ。
夏祭りも、盆の2日間、子ども達のための模擬店にはじまって、「7時から10時まで踊りっぱな し」と言う体育会系の盆踊りに至るまで、その勢いは半端ではない。
古くからの町役(区長)さんを中心に、婦人会、老人会、消防団、子供会、○○委員会、×× 会・・・・、いろんな団体がそれぞれに祭りを盛り上げる。
基本的に、「皆さんに楽しんでいただく」「子ども達に楽しませてやりたい」という所から始まって いて、旧式な「ムラ」意識も微笑ましく、子供らを育てる親の立場としてはまことに有り難い。
子供会役員のご奉公も、コレまで子ども達が遊んで頂いた分を考えれば、苦にしていてはバチ が当たるというもので・・・・
以前にも書いたが、ムラの顔役さん達が集まる会合は、何ともおかしい。
会社や学校など組織に慣れた人たちの会議とは違って、思いついた時に思いついたことを発 言し放題。当然、議題は前後し、混乱し、右往左往する。しまいには、議長の強権発動(「鶴の 一声」とも言う)によって散会する。
集まってきているのも普段、田畑で枝豆をひっこぬいたり、水路の整備をしたりしている爺ちゃ んやら、軽トラで農機具を運ぶおばちゃんやら・・・。その発言の一つ一つがばかばかしくも味 があり、何とも楽しいのだ。
例年、語り継がれている私市気質。
「雨は降らん!」
毎年、行われているムラの祭りや行事には「雨天の場合」のシミュレーションが全くない。今回 も「夏祭り準備委員会」の冒頭、区長さんは高らかに言い放った。
「実施期日は15,16日。雨は降りません!」
だから雨天の場合の中止の連絡方法やら、代替案やら、延期日程やらは最後の最後まで議 題にあがらない。
それどころか「もし降ったら・・・」なんて言葉を漏らしたりすれば「不吉なことをいうな。」とお叱り を受けそうな気配すらある。
これはどうもこの地区の伝統的気質らしく、地区の子らが通う小学校でも、遠足や運動会など の行事は、少々の雨なら「GO!GO!」と決行してしまう傾向がある。
それで結局雨に振り込められることになっても、「やっぱり、私市だねぇ。」とふんふん笑ってす ましてしまう。
農耕の民のたくましさというか、勢いの勝利というか・・・・。
でも私はこのおおざっぱさが、実はとっても愉快で大好き。「私市の人」になって10年あまり。 私もしっかり「私市カラー」に染まりつつあるのかもしれない。
「この大雨、どうよ。」
子供会の役員仲間からのメール。
「やんでも、寒かったらかき氷は売れんかもしれんね。」
「というより、やれるかな、夏祭り。」
天気予報は、曇り一時雨。
「やるやる!気合いで雨もやませてみせる!」
聞けば大雨の中、盆踊り会場である神社の境内には踊りの櫓と模擬店の骨組みがすでに組 み上げられたとのこと。
「雨でもGO!GO!」
恐るべし、「ムラ」パワー。
・・・・て、現在、じつは15日朝。
土砂降りです。
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