月の輪通信 日々の想い
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いつも寝起きの悪いアユコだが、今朝はまた格別機嫌が悪い。
なんだか、ぐずぐずしていて、らちがあかないので、
「今日は学校いっぺん、さぼってみる?あ、そうか、給食、カレーだからさぼるわけにはいかん ね。」
と言ってみたら、アユコの目から大粒の涙がぽろぽろとこぼれた。
あらら、ホントにおさぼりしたい心境だったらしい。
昨日、自習時間に友達と一悶着あったらしい。
ケンカというほどではないけれど、何かいやなことを言われたようで、なんとなくいやな気分を 引きずっているようだ。
「いいよ、別に休んでも・・・。
アンタはいつも、いっぱいいっぱい頑張りすぎるから、たまには、さぼってみてもええよ。」
ぶんぶんと首を振るアユコ。
優等生だからね、さぼるなんていうわけないよね。
それを知っていて、ズル休みを勧めるオカアサンこそ、ずるいというもんだ。
結局、アユコはぐいと顔を上げ、自分で涙を拭って登校していった。
そうだろうと思ったよ。
アンタは決して逃げない。
つぶれるまで逃げない。
その息詰まるようなまじめさに風穴をあけてやろうと、母は時々、逃げ道のドアを大きく開いて 待っているのだけれど・・・。
そんなこんなでバタバタしていて、今朝もアプコの髪を結うのを忘れた。
小さな三つ編みを二つ作り、その日の気分で小さな飾りを着ける。毎朝決まった習慣なのに、 昨日に続き、二日も忘れた。
「大急ぎでやろうか?」
と、聞いたら、
「いいよ、髪の毛、くくってない方がかわいいよって、Y君が言うから・・・。」
「わぁー、そうなの。じゃ、くくらない方がいいね。」
Yくんは、年少組の時からのクラスメート。
以前は、「Yくんは、○○ちゃんが好きだから、アタシとは遊ばないの」と言っていたのに、どう やらYくん、最近フリーになったらしい。
「アプコはY君のこと、好きなの?」
と聞いてみたら、のらりくらりと話題を逸らして答えてくれなかった。
ちくしょう、むちゃくちゃかわいいぜ、幼稚園児の恋。
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