ボクハウソツキ -偽りとテレコミの日々-
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地元に戻ったエリとは少しの間、メールが続いていた 彼女は女としての自信を取り戻し 僕はつかの間の夢で手に入れていた宝石が なくなった悲しみを引きずっていた。
「シバのおかげで前に踏み出すことができるようになったわ 本当に感謝してる、ありがとう。」 「でも、最後の日に手もつないでくれなかったのはなぜなの?」
ぎくう 「それはね、変な話だけど照れてたんだよ」 「次があればたくさん仲良くしようね」 まさか本当のことも言えずに言い訳する。 言い訳をするたびに、感謝されるたびに、 誇らしい気持ちと共に、傷口から血が滲んだ
年が明け、2ヶ月ほどたってエリに愛する人ができた。 まじめなイイ人らしい 「シバのことも全部話してあるの。 それでも彼は受け入れてくれたわ」 今でも時々メールしてることも知ってるらしい。 だがしかし、彼は一般人だった。
「気楽に話していたけど彼は怒っていたの」 「押し殺したように、やめて欲しいって」 「だからもうメールできない。電話も」 「シバのことは本当にスキよ、絶対に忘れない」 「ホントはこのままで良いのか少し迷ってる」
思ってもいなかった言葉が口をつく 「もしも、」 「もしもボクが、エリのことを本気で好きで」 「お互いの難題を乗り越えて、迎えにいったら」 「エリは受け入れてくれるかい?」
短くない沈黙とすすり泣きが聞こえた後 小さな声でうなずくエリ。
「まわりの人に迷惑をかけて、悲しませても、一緒にいたい」
それから半年、ボクはあいかわらず下町で暮らしていた。 その年の秋、エリは結婚した。
勇気のなさと、気持ちの切替ができない弱さに本気で凹んだ。 ボクは向いていない、もうやめよう。 当時は、いや今でさえそう思っているのだ だけど、たまに巡り会う宝石のような女のコに 一喜一憂しながら、キズから血を流しながら、 いまだに新しいキズを作リ続けている。
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