ボクハウソツキ  -偽りとテレコミの日々-
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2002年04月29日(月) 火の国(6)

九州に帰るエリに残された時間は少なかった。
横浜で遊んで、元町で買い物をしているうちに
リミットは迫っていた。
羽田へ向かうクルマの中、二人の口数は少なかった。
そして空港に到着

「この週末は楽しかったわ、ずっと忘れない」
「ボクもだ。忘れないよ、またメールする」

チャックインまでは間だ時間があったが
おみやげで膨らんだバッグを手に
エリは出発ロビーに消えて行く。
その足取りは軽く、取り戻した自信さえうかがわれる

終わった・・・

彼女は自分ほど感情移入がなかったようだ
まさに一人相撲、やはり対応は正しかったようだ。
あっけない別れに胸に開いた空洞を埋められず
虚ろに首都高に向かう途中に着信する

「たいへん!クルマに忘れ物しちゃった!!」

まじかよ!リアシートを見るとフロアに紙袋が
慌ててUターン。全速で空港へ戻るとエリが駆け寄ってきた

間に合ったね、あわて

エリの唇が続きを遮る。助手席から抱き着いてくる。
強く抱き合って長く情熱的なキスを交わす。
「好きよシバ。ありがとう、忘れないわ」
涙で震えた声でささやいたあと、
迫る出発時間にせかされたエリは本当に消えていった。

空港近くに路駐したクルマの中で発着する飛行機を見ながら
ボクは何かを失った悲しみに涙していた。
この2日間は久しぶりに泣いた週末だった。
そして思った。
ボクは瞬間恋愛に向いていないのかもしれない、と。


二人で奏でた Melody
たったひとつの Memory Time up
泣かないで Bye Bye Handy Love


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