ボクハウソツキ  -偽りとテレコミの日々-
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2002年04月28日(日) 火の国(5)

物音に目を覚ますと、エリは着替えながら
「おはよう、起こしちゃったね」と笑顔を見せる
昨日までのそれとは大きく違う、翳りのない笑顔。
涙を流して得た魅力的な表情だ。
 
寝不足の頭を振って、チェックアウトするエリを
モータープールから出したクルマで待って
空いている首都高をリクエストされた横浜へと向かう。
なんだって女のコはみんな横浜に行きたがるんだろう
 
中華街でお土産を買い込み、
早めの昼食は「謝甜記」で海鮮粥を食べる。
そして山下公園を散策する・・・


山下公園で

いつもは一度寝てしまうと次の日なんかは
早く別れて帰りてえ
ぐらいにしか思っていなくて、深入りするのがイヤだから
手なんかつながないし、冷たくしてみたりする。

今回も手をつないだりせず、そっけない態度を保つ。
が、それをする理由は180°違っていた

隣にいる小柄な女のコが愛おしいのだ
ともすれば、もっと一緒にいたくなる
抱きしめて連れて帰りたくなる
実に危険な兆候
本気で彼女を好きになれば、彼女に黙っていたコト
ウソをついていたコト、全てを白状してしまうだろう。
それを許してくれたとしても、隔てる距離が大きすぎる。
破局は火を見るより明らかに思える
ボクは臆病者でウソツキで最低の愚か者なのだ
だから悲しませない程度に距離をとる。
ほんとはそんなことしたくないのに・・・

晩秋の抜けるように晴れた空や
彼女に微笑みかける笑顔と裏腹に
心と反対の行動をとるボクの気持ちは灰色に染まっていた。


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