ボクハウソツキ -偽りとテレコミの日々-
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物音に目を覚ますと、エリは着替えながら 「おはよう、起こしちゃったね」と笑顔を見せる 昨日までのそれとは大きく違う、翳りのない笑顔。 涙を流して得た魅力的な表情だ。 寝不足の頭を振って、チェックアウトするエリを モータープールから出したクルマで待って 空いている首都高をリクエストされた横浜へと向かう。 なんだって女のコはみんな横浜に行きたがるんだろう 中華街でお土産を買い込み、 早めの昼食は「謝甜記」で海鮮粥を食べる。 そして山下公園を散策する・・・
 山下公園で
いつもは一度寝てしまうと次の日なんかは 早く別れて帰りてえ ぐらいにしか思っていなくて、深入りするのがイヤだから 手なんかつながないし、冷たくしてみたりする。
今回も手をつないだりせず、そっけない態度を保つ。 が、それをする理由は180°違っていた
隣にいる小柄な女のコが愛おしいのだ ともすれば、もっと一緒にいたくなる 抱きしめて連れて帰りたくなる 実に危険な兆候 本気で彼女を好きになれば、彼女に黙っていたコト ウソをついていたコト、全てを白状してしまうだろう。 それを許してくれたとしても、隔てる距離が大きすぎる。 破局は火を見るより明らかに思える ボクは臆病者でウソツキで最低の愚か者なのだ だから悲しませない程度に距離をとる。 ほんとはそんなことしたくないのに・・・
晩秋の抜けるように晴れた空や 彼女に微笑みかける笑顔と裏腹に 心と反対の行動をとるボクの気持ちは灰色に染まっていた。
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