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■ 秋の映画鑑賞月間スタート・・・な感じ?(笑)
世の人々はセッセと働く金曜日の気だるい午前10時。我輩はママ上サマと職場のある駅のホームへ降り立ち、寝不足の目に嵌めたコンタクトの眼球に潤いをいささかなりとも与え様と、パシパシと瞬きを繰り返していた。−−−なんて、小説蝶にはじめた所で、解説しよう!本日、我輩は休日出勤の代休をとり、一番近いシネプレックスに映画を見に行ったのである。 目的は『阿弥陀堂だより』である。 邦画である。−−10月のラインナップでは、我輩が見れる作品はあまりない。怖いのは嫌いである。ドンパチ(=戦争もの)には眉根を寄せる。 『阿弥陀堂だより』は日本の古き良き田舎…さらには、失われ行く歳時記や、日本古来の時の流れなどを思い出させてくれる、淡々としたヒューマンドラマである。 昨年か一昨年に放映された『雨あがる』という時代劇の映画(朗々の凄腕浪人が不器用に、だが周囲の人間を優しく労わりながら奥さんと国々を流れて行く…これも淡々とした話)を撮った監督の作品である。日本の巨匠・黒沢明に縁の監督だったと思う。(←かなり記憶薄れギミ) ストーリーは、とある夫婦が旦那の田舎に引っ越してくる所から始まる。奥さんは優秀な医者だったが、パニック障害という精神的な疾患をある日発症し、都会の暮しでは身体に悪いと養生も兼ねて、旦那の田舎である長野の無医村に村医者として引っ越してきた。−−−旦那は、新人賞を取ってから、全く本が出ない売れない作家だ。だが、幼少の頃から村の先生(=剣道の達人だと思う)に師事し、剣舞を伝授されるような真面目で優しい男だった。−−彼は昔から「花見百姓」と村の人間に呼ばれていた。桜の美しさに心を奪われ、農作業が全く手につかなくなる…だから、農村では、「花見百姓の嫁にだけはなるな」といわれるほど、苦笑の対象になる…そんな男だった。−−−夫婦は、村の最高齢である山の上の阿弥陀堂に住まう老婆を尋ねる。村で死を向えた人間の名を墨で記された木札が壁の一面を飾る小さな小さな庵のような阿弥陀堂…そこに、96才になるオウメさんはノンビリと暮していた。村の人との交流と、緩やかに流れる田舎の時間…そして、献身的に心身ともに支えてくれる旦那の温かな優しさに守られ、ゆっくりと癒されて行く女医の奥さん。−−−季節季節の美しい景色。田舎のなだらかな山道。傾斜を生める棚田。緩やか村の中心を流れる川。とうとうと、物語が進んで行く中で、瀕死の淵に立ちながらも、生を拾う者も居れば、自分らしく死へと続く道を歩き続ける老人の美しい姿が綴られ、やがて失われる命を描き、また新たに生まれる命の息吹が語られる。−−−春には若葉が、営みには田植え、夏には渓流、営みには青々とした稲の畑、村の迎え火、燈篭流しに暦を感じ、秋にはトンボと美しい紅葉、そして小金の稲穂、豊饒を祝う秋の神楽、冬は雪、剣舞の神楽、そして次に巡る春を末営み。それらが、流れる川の水のように緩やかに語られる…そんな忘れかけた懐かしい時間と営み、そして、忘れては行けない命の流れを思い出させる……そんな映画だった。−−−泣けるのだ。途中で、何度も泣いたが、人が死ぬシーンとか、美しい雪の神楽とか…だが、一番泣いたのは、スタッフロールの時だった。全ての物語がエンドレスエンドで闇色の背景に消え、白い文字でその中で人々を演じた名前が長く長く帯びとなって流れて行く…ただのスタッフロールを見ながら、流れ出す涙が止まらなくなった自分…具体的になにか悲しかった訳ではない。けれど、涙が後からあふれる…そんな映画は、まぁあまりないから……多分、良い映画だったのだろうと思う。後から来る。最後に見終わった最後に、ただただひたひたとなにかに満たされ、涙があふれてくる…そんな映画なので、アクションも盛りあがりもない淡々と流れる話が嫌いでなければ、命の洗濯だとでも思って、鑑賞してみるのも良いかもしれない。 −−−とりあえず、満足。 来週(金)は北野武監督作品「Dolls」を舞浜のイクスピアリまで見に行って、ついでに地ビールでものんでこようかなァ何て思ってみたりして。 11月になれば、「トリック<劇場版>」と「ハリーポッター2」が上映される。藤沢修平原作「たそがれ清兵衛」もちょっときになる。(主演:真田博之だし/笑)−−−秋は芸術と食欲。映画もやはり色々あって、毎週水曜日は忙しくなりそうである。
そして、今、このキーを叩きながら、塩昆布をツマミに日本酒をチビチビやっている自分は……ああ、なんだか救い様がない程にオヤジ入って来ているような気がして…っていうか、飲んだくれ?呑み助?とか自分突っ込みを居れるにやぶさかではない…今日の我輩。
■今日は何の日?■
東京・新橋付近で機関車が脱線、日本最初の鉄道事故が発生(1874年) 上野アメ横開店(1946年)
……アメ横は終戦後1年と約2ヶ月で出来た計算になるなぁとか、西暦の年数を睨みながら思ってみたりする。上野アメ横では全く買い物をしないが、昔は色々安いと評判だった。(親世代)−−戦後すぐは闇市でも軒を連ねていたのではないだろうか?などと、あんまり調べずに無責任な想像の翼を羽ばたかせているが、当たらずとも遠からず…と言う所ではないかと思う。まぁ、色々…色々、その時その時に合ったことだろう。……調べる気力もないけれど。とりあえず、あそこでかった激安の1000円時計は1年目で寿命を向えた…と小さく書き記しておこうかね(というか、我輩はへぼを掴まされただけか/苦笑)
2002年10月11日(金)
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