自己嫌悪の固まりのようなあたし。 自分で自分をコントロールできなくなってしまう。 午前中は現実逃避のように、眠り続けて、お昼前によろよろと起きてみた。
メール着信1件。masayaから。
おはやうござひます。
今朝の顛末をメールで少し話す。
反省したまへ。海よりも深く。
そだね。反省はしてる。とっても。でも抑えが利かなかったんだよ。
泣きたい気分なのに、泣けない。何にしてもする気が起きない。 ここまで鬱になるのは、年に数回の事だ。年明け早々、こんなことになるなんて。 もうヤだ。
あたしの異常な行動をしって、心配したのか、午後からお茶に誘ってくれた。
ありがとう。家にいても、鬱うつするだけなので、行く。
お風呂にぼぉっと入って、ひさしぶりにお化粧してみた。 目がまだ赤い。むくんだような顔。綺麗じゃない。 鏡を見ながら落ち込んで行くあたしがいる。
午後2時頃に、masayaから電話があった。
スターバックスに行きたい。
はいはい。わかりました。お迎えに行くから。スタバね。
近くのコンビニまで迎えに来て貰って、あたしは熱いコーヒーを買う。 あたしの顔を見て、そんなに変わらないよとmasayaは言ってくれるけど あたしは今のあたしが嫌い。綺麗じゃないし。
車の中でのあたしはここ何日かで起こった事をペラペラと喋り捲る。 沈黙が怖い。これが一番の理由。 途切れると話す事ができなくなるかもしれない。そう思って一生懸命に話してみた。 普通に見えてるだろうか?少し不安。 運転中のmasayaに少しもたれかかると、頭をなでて、「よしよし」と言ってくれた。 嬉しい。とても。
スターバックスでキャラメルアップルサイダーを飲んで、masayaはいつものラテのダブルで、 朝から何も食べてないあたしは、ココナツのクッキーを頼んだ。 甘くて噛み締める度にココナツの味が広がるクッキー。 小さい1個をmasayaと分けて食べた。甘い物は少し幸せ気分にしてくれる。
サングラスを外すと、まともに顔が見れないような気がする。 というか、顔を見られるのがとても嫌だった。 まっすぐに見れない。自信がない。
30分程のお茶を終えて、どこにも寄らずに駐車場に引き返す。 どこかに行こうという元気があまりないのも本当のところ。 駐車場の車の中で、ふいに抱き寄せられてキス。抱き締めてくれる。 masayaの剃ってない髭があたって、チクっとした。
あったかい…。
車を出して、次はどこに行くのかというと、「御買い物でしょ?」と言われた。 え?何?って思ってると、どうやら、珈琲豆を買いたいとあたしが言ってたので そこに連れてってくれるみたい、、、だが。ちと道を間違えたので、今度でいいよとあたしは言う。
元気になったら自分で買いに行くよ。
そうかそうか。
あい。そうしますです。
行くところがなくなったので、そのまままた家への道を戻る。
髭が伸びてる。
申し訳ない。剃ってないので。
でも、違う人みたいでいいよ。たまには。 髪も伸びてるよね。
そうだよ。鬱陶しいんだよ。そろそろ切りたい。
masayaは髭が濃い人ではないので、2ー3日剃らなくてもぜんぜん大丈夫なのに 今日はキスした時チクチクした。珍しい。 そのまま、ずぅっと走ってて、うちの近くまで来てしまった。 5時に帰らないといけないので、時間はない。もう3時過ぎ。
帰って来ちゃったよ。
…あのねぇ、あたしは抱き締めて欲しいです。セックスしなくてもいい。
ていうか、中途半端にキスとかしちゃぁだめだね。俺は満足しないぞ。
でも時間がないね。
せわしないね。
1時間も時間はないかもしれないのに、ホテルに車を入れる。 部屋に入って煙草を1本吸って、あたしはmasayaに抱き締められる。 何度もぎゅぅっと抱き締めてくれて。キスをしてくれて。
「もうちょっと元気になっておくれ」
抱き締めながらmasayaはそう言う。
「うん。ありがとう。」
あたしはそう答える。
洋服を脱いでしまって、ベッドに入って抱き合うとあったかい。
ねぇ。抱き締めてくれるだけでいいよ。あたし。
ん?俺もそれでもいいが。
シタイ?
シタイよ。嫌ならしないが。
嫌ぢゃないよ。嫌なわけないじゃない。
会話が途切れる。 masayaは何度もあたしを抱き締めてキスを繰り返す。 それはセックスの前戯ではなくて、癒しのようなものかもしれない。 落ち込んで鬱状態で、何かから逃げてるあたしを抱き締めて撫でてキスしてくれる。 強く抱き締められると痛い。甘い痛み。 何度も繰り返して抱き締めてくれるのは、masayaの優しさかしら?
こわばっていた気持ちが少し溶けたような気がした。
前戯という前戯はしていないような気がする。 ただ抱き合ってキスされていただけなのに、あたしはたやすく彼を受け入れる。 奥深くまで貫かれたままで、彼はまたあたしを抱き締めてキスを繰り返す。 何かから逃れるように、あたしは乱れる。逃避?なんだろうか。 それでもあたしはmasayaに抱かれる事で、癒されてゆく。
激しいセックスだと思った。
あたしの中で彼の痙攣を感じる。抱き合って繋がったままキスをする。 masayaの体中が汗ばんでいる。 部屋の中が暑い。
身体を離すと、あたしの中からあたしの体液とmasayaの精液が混ざったものが流れでて それはシーツに染みをつくった。
腕枕のままで、あたしは言う。
凹んでるの。抱き締めて。
masayaはぎゅぅっとあたしを抱き締める。 汗ばんだ身体に抱き締められながら、あたしは彼の鼓動を感じる
ねぇ、はじめて逢った日もあたしこう言ったよね。 「凹んでるの。抱き締めて」って。 思い出しちゃったよ。いっつもあたしばっかり癒されてるよね。 ありがとう。忙しいのに時間取ってくれて。
いへいへ。どういたしまして。
また勝手に癒されてるの。
ははは。そーか。テキトーにどうぞ。
ねぇ。落ち込んだ時はどうするの?
ん?俺はテキトーだからあんまりそういうことはないなぁ。
そか。あたし、トリアタマにはまだまだだよね。
はははは。
きっと、今日逢った時よりも、今のあたしは元気になったんだろうとそう思った。
また、勝手に癒されてもいいですか?
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