少し先の事を考えると、不安に押しつぶされそうになる。
あたしは大丈夫なんだろうか?
本当はぜんぜん強くないのに、でも強がりばかり言って、 大丈夫よと、笑っていられるんだろうか?
そんな事を考えていると、何かをしなければと思う焦燥感がつきまとう。 何か新しい事をしなければ。この春から。
あたしは仕事を探しはじめた。 なんでもいいわけではなく、自分の好きな仕事をしたい。 そう思って、面接を受けに行った。
あたしが受けた会社は思ったよりずっと人気があって、 何十人と言う応募があった。 7人グループでの面接。18や20の若い女の子に混ざって、不安ながらもそれは終わった。 思ったより難関。たぶん、無理だろうと自分でも思った。 体力面、実際に仕事に入れるシフト、家事もしなければならないという制約。 …落ち込む。
masayaからはメールの返事が朝からまったくない。 その事が落ち込みに拍車をかける。
急に思い付いて、買い物の帰りにそのまま彼の家に行ってみようと思った。 彼の家の近くのスーパーで買い物を終えて、あたしは車を走らせた。
駐車場にmasayaの車が停まっていた。
どうして家にいるの?どうしてメールに返事してくれないの? 一気に不安感が押し寄せる。止せばいいのに電話をしてしまった。
お仕事ちゅう?
そうだよ
おうちで?
…さっき帰って来たんだよ。もう出かけるが。
顔だけ見る。待ってる。
そうは言ってみたが、車で待っている事もできない。 車から降りて彼の部屋へと歩く。
途中で家から出て来たmasayaと会った。 なんとなく気不味い。
駐車場まで歩いて、少し話をした。 何故かよそよそしいと感じた。不安。苛立ち。 泣きたい気持ちなのに、平気なふりをして話す自分自身も嫌だった。 別れる前の軽いキス…。それさえも、気になった。
帰ってからmasayaにメールを入れる。 勝手にまた押し掛けて怒っていないか、不安だった。 それに、もう一つの不安もあった。他の女?
『他の女連れ込んでるのかとドキドキしちゃった。 ばかみたい。あたし』
そんなメールを入れてしまう。 馬鹿みたい。嫌味な女だ。あたしは。 当然レスはない。
レスがないということは図星なんだろうか?
あたしには彼が誰と付き合おうが何も言う権利もない。 masayaがあたしだけと付き合わないといけないという義務もない。 わかっているのに、ちゃんとわかっているのに、そんな事を言ってしまう。
masayaからのレスが来るまで、色んな事を考えた。 勝手な妄想は膨らむばかり。 ホットカーペットの上で毛布に包まってシクシクと泣いた。
携帯が短く鳴った。masayaからメールだ。
『そーか。笑。珈琲飲みながらそろそろ仕事でもするかぁ』
『この時期にそんなことしてたら、俺ってすごいとも思う。 現実的に不可能です。フォローになってないが。』
確かに、一言も否定はしていない。現実的に考えて不可能だと言っているだけだ。 でも、それでもなんでも、そうやって、レスを入れてくれる事が嬉しかった。 そして、ちょっとだけ安心した。
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