ワンゲーム目の前に、彼に聞いてみる。
「目標は?」
「そりゃぁパーフェクトだろ。」
「うまひの?」
「でもながいことやってないよ。金のかからん目標は高く掲げるべきだろ。」
そういって投げ初めてみたら、そんなにうまくない。あれ?あれれ。目標はパーフェクトじゃなかったの?
「投球速度22km/hだよ。」
結局、2ゲームで、彼が平均120。あたしが平均90って。すっごい下手な方ですね…。 でも、こういうデートみたいなことって、普段しないから、新鮮で楽しい。
家に帰るともう日付が変わっていた。 お風呂を入れて、LUSHのバスボムを入れてふたりで入る。 今度の浴槽には、凹凸があって、思ったより浴槽内が狭いし、足し湯方式なので、足し湯をすると、お湯が出てくる方に漬かっているとものすごく熱かった。
きゅぅーと乳首を絞る確認作業は当然行われる。何の儀式だろう?
「出ないよ。」
「出てるよ。」
「あ。」
「濡れると出るんですね。」
先に上がってもらって、あたしは剃毛をはじめる。ここんとこ忙しくて、まったく手入れをしてなかったので、もう限界状態だったから。最初は内側部分だけにしようと思っていたが、思ったより周りも伸びてたから、思い切って全部剃ってしまった。 あたしの個人的趣味だ。彼は別にそんなことで喜ぶ人ではない。
丁寧に剃り落として、お風呂から上がると、もう午前2時。 ベッドに入って聞いてみる。夕方のだけじゃ、きっとあたし物足りない。
「する?」
「どちらでも。」
「しないのぉ。」
「じゃぁ、とりあえず舐めて大きくしておくれ。」
「『くわへろ』なのね。」
「くわへろ。」
小さい状態から大きくなっていくのを舌と唇で感じるのは、とても嬉しい。 彼と付き合いはじめてから、フェラ好きになったあたしは、いくらでもくわえつづけていられるような気がする。でも、結局馬乗りになってしまうのだけど。
二の腕を噛まれると泣きたいくらい感じた。 お尻を叩かれるのは久しぶりだった。 ほんと、Mだわ。あたし。
騎乗位は一番感じる体位。 これでしか到達できないない状態があるから。 でも、そこにたどり着くのは、結構大変で、我慢に我慢を重ねてやっとという感じ。 こればかりはイクかイカナイか、その時の彼の状態と、あたしの動き方で決まるようだ。 彼が中途半端な状態だと、そのイチには届かない。だから、2回目のセックスだとうまくイけない時もある。
「全部剃ったのか?」
「剃ったよ。剃ったとこ、痛い?チクチクする?」
「ん、大丈夫。」
大丈夫と言われたので、動きを徐々に大きくする。 もう少しもう少しもう少し…。十分に感じているのだが、この状態でもすぐにイク事は出来るんだけど、それより先を感じたくて。 ここで自分に負けてイってしまうと、もうそれ以上には昇れない。
一瞬、あ、きたと思った。
その後をよく覚えていない。 ただ、終わった後に、またティッシュが近くになかったので、困ってしまった。
教訓、ティッシュは各部屋に置くこと。
「少しは満足していただけたかぁ?」と聞かれた。
「あい。大変満足いたしました。ありがとう。」
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寝る前に、お願いしてみる。
「あのねぇ。指輪買って欲しいんだけど。前のが歪んじゃった。」
「ん。良いよ。」
「本当?」
「うむ。」
今の白蝶貝の指輪は、2年前ぐらいに買って貰った。 嬉しくてずっとつけていたら、けっこう厚みがあるシルバーなのに、指の形に歪んでしまったのです。なんどか自分で直そうと思ったが、ダメだった。
それくらいいいよね?去年のお誕生日も何も貰ってないし。 クリスマスも結局プレゼント送り損ねたし。
「おやすみ」と言って、数秒後には彼の寝息が聞こえた。 あたしも寝よう。明日は仕事だし。
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朝9時のアラームがうるさく聞こえる。 ああ、起きなきゃ。 体を起こすと体中が痛い。
出勤する用意をしてから彼を起こす。
11時半までにはいかなければならない。 でも、その前に指輪を買って貰おう。だから早めに出ないと。 10時過ぎに彼を起こし、10時半には家を出る。
あたしの勤めるSCの中に、シルバーアクセの店がある。 そこのショーケースを見渡すと、いくつかの白蝶貝の指輪があった。 中指は黒蝶貝のだから、やっぱり白かな…。
花のデザインとシンプルなふたつを見せて貰う。 可憐な花のデザインが似合わない。指が短くて、綺麗じゃないから。 だからシンプルな方にした。
「これ。いい?」
「よいよ。」
彼がカードでサクっとお支払い。 えへ。ありがとう。すぐにはめるから。袋いらないです。
新しい指輪はとても嬉しい。 ちょっと丸い感じで、厚みもかなりある方なので、ちょっとやそっとじゃ歪んだり曲がったりしないだろう。これで安心。
マクドナルドで朝食を摂って、あたしは仕事へ。 彼は少しふらついてから帰ると言った。
「来てくれてありがとう。」
「いへいへ。」
「じゃぁね。またね。」
「あい。またです。」
出口で別れて、あたしは職場へ急ぐ。 後ろは振り返らない。見送る時間もないし、後ろ姿を見るときっと淋しいから。 だって、彼は絶対に振り返らない人だから。 そんなの、3年半付き合ってればわかるもの。
後ろは見ないで、薬指の指輪だけを見て、あたしは歩いた。
「おはよー。指輪買って貰っちゃったー♪」
「うわぁ、店長、ラブラブの指輪ですか?」
「ラブラブじゃない指輪だよ。」
ラブラブじゃない白蝶貝の指輪は、微妙にサイズが大きくて あたしの薬指でくるくるまわる。
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