珈琲の時間
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2001年12月18日(火) |
悲しくない人なんていない |
あいかわらず昼に起きた。 うどんとさば味噌煮のようなものを作って妹と食べた。 目が覚めないのでお風呂に入った。 そしてもう16時。 あんまり時間がない、支度しなくては。
何処に行っていたのか母が帰宅。 それに気がついて裏にすむ母の妹とその旦那が来た。 今日はお通夜だ。 『線香をあげてすぐに帰ってくる。どうせ別れるつもりなんだから。 関係無いんだから行かなくたっていい。』突然母が言う。
(何を言ってんだ。そんな気持ちならお前の方が行かなくっていいよ。 見送る気持ちのない奴が行ったってしょうがない。)
『そんな話する事無いないでしょぉ?全く気分悪いなぁ!』 気持ちを持って行こうとしている人に対して八つ当たり出来る立ち場か? せっかく待ってたのに。もう一緒に行く気なんてない。 イライラした気分を吹き飛ばすためそれ以上は考えないように思考を止める。そして結局妹と二人でおじいちゃんの家へ向かう。
20分前についた。寒いな。 外には近所の人が何人か列になっていた。 横を失礼しながら家の中に入るとみんないて座っていた。 『早く入れ』と言われたので外に母を呼びに行った。 (母は妹の旦那に乗せて来てもらっていた。) 『いいよ、いかない』2度誘ってもそういうので放っとこう。
お経が始まった。聞いているうちに家のことを思って悲しくなった。 入院中二人きりの時に『しっかりと家の事見てやれよ。お母さんを支えてやれよ。』 面と向かって家の問題の事に触れたのはその時だけだった。 それまではお互いあえて触れなかった。両親二人の問題で周りではどうにも出来ない事を解っていた。 解っていも心配でしょうがなかったんだろう。 (こんなバラバラなままでごめん。でも私にはどうにもできないよ。) 気分を変えよう。ここでもまた思考を止めて、無心。
父が挨拶をする。 『常に家族のよりどころとなる優しい父親でした。』 たしかにその通りだと思った。そんな文句を無心のまま聞く。 その時はその台詞に関しても考えたくもなかった。己はどうなんだ。などと。
母が焼香をしている。終わらせてとっとと帰ろうとする。 叔母の栄子ちゃんが立ち上がりかけてもどったのを見た。
お通夜が終わって食事の準備が慌ただしく始まる。 ふと棺はどうしたんだろうと思い由美子叔母に聞くと 『15時に納棺したよ。いなかったっけ?知らなかったの?』 そんな言葉でまた少し鬱になる。 18時からお通夜だということしか父は話さなかった。 おかしいとは思っていたけど、やはり先を読んで早めに行動すれば良かったと思った。 いつだってそうだ。わかってるけど。 こんなときまでお前達には関係ないからなんて思っているのかと思うと感情を殺す意外何も出来なくなる。 しかもこんな席で。 『皆で協力して良く看病した』挨拶で言ってたけど。 『みんな』という単語をどんな意味で使っているのか。あなたに一番問いたいと思った。
そして嫌い嫌い星人がやって来た。 誰も嫌い。なにもかも嫌い。こんな自分が嫌い。考えるのも嫌い。 そしてまた無心の世界へトリップだ。
アシがない妹は私と一緒に行動せざるを得ない。 おすし食べたかったところを悪いけどこんな気分でこの場に居たく無かったんだ。 どうせ家にはいじけた母が独りでいる事だろうし。 こんな気持ちを知るはずもなく『休んで食べていけよ』と言ってくれた父に 『いいよ、もう帰る。』と言ったら機嫌を損ねたのか何も言わずにそっぽを向いた。 そしてほかの皆に見つかると騒いで引き止められるのは目に見えていたからさり気なくその場を立ち去った。
車に戻ってから妹が泣き出した。『なんでいがみあうのか』と。 そんなことで今更泣く気もしなかった。 こんなでも前より多少は良くなってるのは確かだ。 急げる問題ではない。前を向いていくしかない。そうでないと生きていけない。 それよりきちんとおじいちゃんを見送る事に専念できなかった事が悔やまれた。 だから少しだけ三山を眺めて、そして空を見たんだ。 そしたら星がたくさん見えた。きれいでよかったね。 おじいちゃんを包んでいた全てのものたちよ、またくるからね。
途中食料を調達して家に帰る。 おすしとビールを買った。 いつもなら嫌な事があると口も聞かなくなる母が目をあわせないながらも口を聞いた。(ほら、前より良くなってるよ) 妹がいるおかげかな。 どう思ったかしらないけど自分の中ではおじいちゃんの家にいるみんなと一緒に御飯を食べているつもりでいた。 (少し遠いけどココに3人で一緒にいるよ。) だからおすしを買ったんだ。 おじいちゃんも入院中食べたいと言って宙君に探して来てもらったよね、ネギトロ。 わからなかっただろう。妹よ。 さっきは泣かせるような事してゴメンナサイでした。
そして一人でいただいた半年ぶりのビールはおいしかったです。
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