柔らかい殻揚子江の上流に見慣れない生き物がいて現地の人は成人の儀式にそれを食べる雨の降る夜はいつも腹の中で卵が孵って鼻の穴から糸がするすると巻き付いて柔らかな殻になる殻の中は暖かいらしく雨の降る夜はいつもまるくなってうずくまって夫婦は抱き合って眠るひとつの殻に入るので婚姻を結ぶことを現地では「同殻」と呼んでいる幼虫は糞と一緒に出るので便所はなく揚子江に垂れ流す殻は湯で煮て繊維をほぐして織物に加工され市場に出荷される