即興詩置き場。

2003年06月17日(火) 32.鍵穴



鍵穴


古い鍵穴は
壊れてしまいそうで
そっとしておくべきだと思う
そのままでいいと思う

柔らかい鍵穴は
感触を確かめるために
突っ込んでみたくなる
濡れていればなおさら

入れられるのを待っているのと同時に
入れるものを選別して、拒否する、
凛として、主張を曲げないくせに
受け入れたものは許し、与える
大切なものも
そうでないものも

海の、波間の、白い、泡立つ突端に
ときどき見えて
鍵は持っているけれど
届かずに
消えてしまう



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