特集・質問にこたえるの巻 その2 - 2002年04月29日(月) 次です。 Q:京都での音楽生活はどうですか? どうも毎度こんばんは。この質問については事前に少し状況説明が必要です。僕は別にかつて東京に住んで音楽をしていた、というわけではありません。住んでいるところはずっと京都です。しかし、僕が今までやってきた作曲やアレンジの仕事というのは、そのほぼ全てが東京方面からの発注です。仕事のほとんどは自宅でおこない(さっきで言う「プリプロ」の段階までね)、打ち合わせやレコーディングのために東京に通うというスタイルをとっておりました。そんな感じなので正直言って京都にいるメリットというのはほぼ全くなかったのです。向こうにいた方がずっと便利です。 ただ当時は東京が嫌、というか、仕事先と家が近くなるのが嫌でした。それはクライアントとコミュニケーションしなければいけない機会が必然的に増えるからです。当時の僕は業界の人とうまくつきあうのがとても苦手でした。さまざまな事情や商業的な問題などで、自分のやりたいことが出来ないというフラストレーションがいろんなところへ悪影響をおよぼしていたみたいです。性格はぎすぎすするし、仕事で会う人にはケンカ腰とまではいかないものの、つねに半戦闘態勢です。「わからせてやる!」みたいなね。なんだかだんだん血がよごれていくような感じで、こういうのを文字通り悪循環というのでありましょう。まあ意地張ってがんばっていた証拠でもあるんだけども。 いやぁ。いかんかったこれは。何かが違う。好きに出来ないんだったらサラリーマンと変わんないよなあ、などと思った1年半ほど前の僕は、いかにも好きなことをやっていそうなミュージシャンに会いにはるばる北海道まで行ったり、ここ数年まったくと言っていいほど行ってなかった京都のライブハウスに足をはこんだりしました。何かをつかもうと思ったからです。そこで思ったことは、なんとまあ彼らは楽しそうにやっていることだろうか、ということです。まあ仕事じゃないから当たり前といえば当たり前なんだけど。こんなにおもしろい人達がいるんだなということを初めて知りました。 しかし、彼らだって決してぬくぬくとぬるま湯につかっているわけではない。そこにはそれぞれの目標というか野望があります。まああんまり表には出したがらないけど。僕が時にぎすぎすしたり戦ったりしながら培ってきた経験というのは、そんな彼らにとって役にたつものであったようです。彼らのすばらしい音にあと何をプラスすればより輝きを増していくのかということについて、僕は適切な方法を感覚的にみちびき出すことができます。 そして彼らからは、自分らしく生きることについて改めて考えさせられました。まあ書くと長いですが簡単に言うとああしなきゃいけない、こうしなきゃいけないという、分かっちゃいながら今まではとっぱらうことができなかったものさしをとっぱらうことができるようになったのです。なんか昔書いたのとリンクしてるけど。 今の自分は非常に「らしいなぁ」と思います。完全にらしさを取り戻した。これがまた、音楽にもいい影響をおよぼしております。水を得た魚のように、音のスキマをぬっていろんなものをふりまくことができてきている。なんかわかりにくい表現だけどこんなかんじ。自分がらしくあることによって誰かをしあわせにすることができたら、最高だな。 まあやりたいことをやっている分経済的にはけっこうしんどいけど、今は非常にいい状態です。正しい状態。ここで僕は力をたくわえたあと再び前線にきりこんでいくことになるだろうけど、そこでも今と同じように自分らしくやっていけるという自信があります。それが確信に変わるまで、あともうしばらくがんばらなきゃいかんなあ。 というわけで答えですが A:今のところ、けっこういいです。 おそまつさまでした。続く。 ワオーン -
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