世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年05月17日(金) ★御坊 南塩屋まで ★

YHを6時15分にでようとしたら、雨が来た。今日は雨具なしでいいのか、と思っていたのにやれやれ。取り出して着ていたら6時20分過ぎになった。

昨日夕方、親切なおじさんに送ってもらったので、楽をした。
まあ、紀伊田辺に入ってから、だったし、今日は海岸道路を抜けて、一気に出立王子へ出てそこから国道へむかうことにする。
出立なんて、一日のはじめに縁起が良さそうではないか。
途中、犬を連れた人にきいたら、「でだち、とよむんや」と教えてくれた。
なるほど。大和読みだ。

小さなほこらのあるこじんまりとした神社だ。山中の王子は石碑が立ててあるだけ、が多かったが、平地ではきちんと建物として立っている。
旧国沿いには、鰹節屋さんがいい匂いをさせている。向かいには「植芝助産所」の看板。なんか町の雰囲気も「旧」的でいい。
雨があがったので雨具を脱ぐ。が、その40分後大神社(芳養王子 はやおうじ)激しい通り雨できた。

8時10分、南部町にはいる。梅干しで有名なところだ。と、思っていたら、正直なモノで、ホントに看板は梅干し系が多くなり、あちこちから酸っぱいような梅干しのにおいがする。国道で排気ガスに負けないで匂うのだから、梅干しも大したものだ。
南部町の海岸通り、椰子の木が植えてある、紀伊田辺もそうだったが、黒潮の影響だろう。よく育っている。また、四国でもはっきりと感じたのだが、ほんのそこまで黒潮は来ているのが海の色でわかる。
今年の早くからの暑さ、やもう梅雨入りとしか思えないお天気はこの黒潮の蛇行と関係あると思う。

今日は御坊まで、40キロ、とあちこちでいわれているし、できるだけ距離が稼げる国道42号と思っているが歩道がないしうるさい。時々旧国にはいるとほっとする。王子もできるだけ寄りたいが通りばたにないときはぱす、と決めている。
まあ、王子巡りが本来の目的ではないし。ということで、三鍋王子をパス。

南部橋をわたって国道のカーブの急さ、と車の勢いに恐怖を感じて不本意ながら、地図にある熊野古道の道へはいる。といっても、印があるわけではない。国道・旧国をはずすとを「地図読み」が始まるということだ。
これができないとどうにも動けなくなる。
大目津から海岸へ、千里が浜という古来から風光明媚をいわれていた浜歩きへ。ホント、今日みたいな雨の日、いくら歴史と由緒があってもしたくない砂浜歩きだ。足が砂にずぼと、疲れが出るね、やれやれ。
千里王子近くの砂浜で中学の生徒たちが先生と遊びに来ていた。ビーチバレーをしたり、貝拾いをしたり、かに取りをしている子たちもいる。
「今学校にこんなゆとりがまだあるんですか」
「今日は、3年が修学旅行で、1,2年生だけで遊んでいるんです」
生徒100人規模の学校とか。生徒の顔がみんな覚えられますね、といったら、まだ青年教師風の人、ええ、と破顔一笑。ふーん、去年私が講師にいっていた川崎の先生よりいい顔だ。あれていない、生徒も先生も。

さてここからがたいへんだった。道迷いで、30分はロスタイム。
私としたことが、ポッと、いく方向を誤ったのだ。
魔がさしたとしか思えない。
昨日、山中で、道に出ていたビワの木からちっこい実を一つ、あんまりのどが渇いていたので失敬したがその罰だろうか。ここんとこ、いけないことをしたのはそのくらいしか思いあたらないし・・不偸盗、いけませんでした。反省。

岩代駅12時少し前着。
近くに岩代王子があるが、それより休んで何か食べたい。お疲れ・・・・だああ。
ここを11時半には通過、と思っていたのだが遅れだね。
小さな駅に、養護学校の先生が二人の子どもをつれてお食事中だった。
先生も子どもたちもいい感じだった。親ごさんかと思ったもん。
近くのお店で買ったパンで昼食、トイレ休。30分。
それにしても、松尾寺さんの地図ではここにくるのは、なんと紀伊本線のわきをひたすら歩くようになっている、これは熊野道ではないのだが、こんな道があるのか疑問。駅へくるまえに調べたがついに謎だった。
もしかして線路沿いを歩く・そんな・・・それって開発途上国の映画シーンみたいじゃんよ。
岩代王子は海べりの潮風の中にひっそりと立っていた。潮垢離をしたようだ。
ご飯を食べると体が重くなり疲れが出る。歩行が明らかに遅くなっている。
晴れてきたのでまあいいが。

印南町へ1時にはいる。
ここから、熊野道だ。昨日S氏が電話でいい道だしいくといい、教えてくれた。
確かに林道の、人気のない道、道に張り出した木々が「夏闇」をつくりだしている。
榎木峠を越えて中山王子へ。海と町が一望できる景色が広がった。
ここもきちんと社があって、立派な神社だ。トイレもきれいだった、地元の人が大事にしているのがわかる。
切目王子にいく前に途中の郵便局でお金をおろしたり、仕事の電話をしたり。
宿はまだ決めてない。決めかねている。
本当は、御坊の南塩屋か、北塩屋までいきたいが行けるか、なのだ。ホントは印南から御坊には行ったばかりの楠井の方が楽勝なのだが、時間が早い。

切目王子で、よし、と北塩屋の民宿に電話。
切目王子は立派な神社。3時10分発。
不本意ながらまた旧国へ。とにかく車が容赦ないスピードで走っているし歩道はなくカーブが急とくると、もう行けない。
印南湾をぐるっと迂回して津井王子へ、そこから国道へ出ようとしたら、道がしたにある。うろうろしていたら、畑仕事をしていたおばさんが畑の中の道を行くようにいってくれた。
国道近くまで降りて声がするので振り返ると、おばさんが「御坊、あっちや」。上から様子を見ていてくれたのだ。ありがとう。
御坊4時20分にはいる。
やった。しかしだね、足が痛いよ、マジに。
どうも今までできたことのない場所にマメができている。
新しい靴が合わないようだ。
困ったね。熊野道を歩くに当たって裏のしっかりしたゴアッテクスを選んだのだが。
もう、王子に寄り道する体力はないようだ。ということでひたすら国道歩き。
熊野道は海岸より町中の道だが距離がありそうだしパス。上野王子があるのだが。
ここまで、歩く距離を少なくしたいと思ったのは久しぶりだ。
歩みが朝の半分近くになっているのがわかる。
やっぱり私には40キロはきついよ。30キロ台が理想だな。

名田町○○というのが長い。
バスが通る。乗りたい、の気持ちが走る。乗ってしまえば一気だ。しかし、私がタイムオーバーの時間に決めている6時にはまだ1時間ある。でれでれ、歩く。
逆にこうなってからがむしろ「歩行」(ほぎょう)かも。

清姫の草鞋塚なるものが見たくて熊野道沿いにはいるが見つからず。
この町は宮子姫生誕地(藤原の誰かの奥方で、光明皇后?の母ではなかったか?)
さっきの印南は鰹節発祥の地とかあったが・・・えらく違うね。

めざす尾の崎橋が見えてきた。じきだ。
6時すぎ、国道の危ないところで携帯が鳴り出した。
見れば昨日まで古道歩きのお仲間だったTさんだ。
少し話してお互いの労をねぎらって切った。ありがとう。
民宿とあ(永遠とかくみたい)さん、6時10分着。

おばさんが明日のお弁当、おにぎりと甘夏、缶コーヒーをくれた。
おじさんも親切。あたりの宿だった。
素泊まり3500円。

近所の店で食事をしたらもう目があかない。
9時前に爆睡。
今、日付けが変わって深夜2時半過ぎに起き出してアップ。
もう少し寝よう。














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