| 2002年06月27日(木) |
芸の力・・越路太夫さんの思い出 |
寒い。 どうしてだ?と思っていたら、しのじんさんによれば「ヤマセ」なんだそうです。 ヤマセ マミじゃない。(あの子、賢いから私は好きだけど) ヤマセって、東北なんかで凶作をもたらす北風のこと、だよね。 しかし、この雨で洗濯もできないのは困るよねえ。
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文楽の名キリバ語りだった越路太夫さんが亡くなった。享年89歳。 越路太夫さんの引退公演のことを思い出す。 もう十年以上前になる。まだ、声の色つやは盛りといってもいい頃の引退で、いろいろといわれていたが、引退公演はすごかった。 国立劇場、満員御礼。チケットが取れなくて、亡き大伯母から譲ってもらっていった記憶がある。 演目は菅原伝授手習い鑑の「桜丸切腹の段」 桜丸は吉田簑助さん、父親は吉田玉男さん、語りは越路太夫さん、三味線はこれも今は亡き燕三さん、典雅としかいいようのない美しい音色の三味線にのって(あんな音を出せる人は今後出てこない・・と思う)、切々と息子桜丸を切腹させる父の情が語られる・・・泣いた。泣けた・・あのとき満員の国立劇場の小劇場のあちこちから、すすり泣きがきこえた。 忘れられない。 簑助さんファンなので、いつもは簑助さんによって命を吹き込まれる人形に集中する私なのだが、あの時は語りが勝っていた。 今思えば、すごい舞台、文楽の歴史的1シーンに遭遇していたのだと思う。
手元に、NHK制作のテープ、桜丸切腹の段がある。今夜は聞いてみよう、久しぶりに。
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