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2002年02月05日(火) |
あれこれ ●善良な田舎者(F・オコナー) |
●必要に迫られて大嫌いな歯医者に行く。治療中、「痛いですか?」と訊かれ、我慢できないほどでもないのに「ええ」と答えてしまう自分が情けない。幼い頃、母に連れられて行った頃は、我慢強い自分を主張したくって、どんなに痛くっても「痛くない」と強がった記憶があるのだが。 医者に「腫れてますか?」と訊かれ、「ええ、左奥の口蓋が」と答えると、「なんで口蓋なんてことば知ってるんですか? 歯医者に勤めたことがあるの?」と逆に質問される。うーん、別に歯医者に勤めなくたって、口蓋ってことばくらい知ってるし、漢字だって書ける。なんだかわたしは無駄なことばっかり知ってるような気がしてきた。そうだよな。わたしって無駄なことばかり知ってて、生きるに必要なこと、あまり知らないよな。
●筑摩書房から出ている「文学の森」とか「哲学の森」とかのシリーズは、図書館に行くと必ず1冊は借りてしまう。で、だいたい2、3篇読んで返し、また借りて2、3篇読む、そんな繰り返しの愛情を注いでいるのだが。今日読んだ「悪の哲学」篇にあるフラナリー・オコナー「善良な田舎者」には驚いた。 最近の悪の特徴はそこに文法の存在しないこと、とは思っていたが、オコナーは、1955年、すでにそのことを書いている。 本ばっかり読んでることがわたしの「逃避」なのだと、自分に読書禁止令をしこうとしていた矢先に、こんな驚くべき短篇を読んでしまった。やっぱりやめられないな。
●雨が降ると、このところ必ずKeith JarrettのThe Melody At Night With Youを聴いている。彼のI Love You Porgyは、得も言えぬ美しさ。こんな息づかい、こんな間を知っている俳優がいたら一緒に仕事したい、と、思ったりする。
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