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2002年12月23日(月) |
やっぱり、いいのだ、生きていることは。 |
●仕事を終えて、仲間のお通夜に静岡まで出向く。11時を過ぎていたが、泊まりこみの懐かしい仲間たちが顔を揃えていた。 やはり俳優仲間であった奥さんが、「顔を轢かれたので、2枚目がかなりひどいことになってるの。だから、死に顔は見ないでもいいよ。もし見るんだったら、すぐにかっこいい写真を見てね。そっちを覚えていて欲しいから」と言う。 遺影に手をあわせ、死に顔は見ないままにしようと思っていたら、仲間のひとりが「見なきゃだめだよ、ちゃんと見てお別れしてやらなきゃだめだよ」と、わたしの手を引き、再び棺の前に。 崩れてしまった顔と対面し、歪んでしまった唇に、綿棒で、大好きだった焼酎を唇に塗ってあげた。そして、やはり大好きだったショートホープに火をつけ、お線香がわりにした。煙にむせながら、お別れをして、そして、2枚目だった彼の写真を長らく眺めた。
●奥さんは、彼の両親が感情的な人たちだから、わたしが泣いてちゃなんにも進まないのよ、と、ひょうひょうとしている。まだ泣いていないと言う。あれだけお互いを必要としていたカップルなのに。 彼女ののろけ話を聞いたり(!)、懐かしい思い出話をしたり、馬鹿を言い合ったりして、夜を過ごす。知らぬ間にそこら辺で寝てしまい、6時半に再び彼の遺体に別れを告げ、稽古場に向けて新幹線に乗り込んだ。
●寝ていなくっても、心が揺れていても、やっぱり仕事場に着いたらしゃんとした自分がいる。わたしは仕事に恵まれた幸せ者だ。 仕事を終え、心配してくれていた恋人に会い、美味しい食事とワイン。生きていることを二人で喜んだ。何がなんでも長生きしようねと、お互いに誓った。
●やっぱり、いいのだ、生きていることは。
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