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2003年03月13日(木) ご褒美の水。

●何やら落ち着かぬ日々。仕事でも、私生活でも。

●前の仕事でご一緒した女優さんが先日、現在の公演を観にきてくれて、今日、実に感動的な「感動しましたメール」を受け取った。
 感動したことを伝えて、逆にわたしが感動してしまう、温かい文章。ありがたかった。
 女優としては抜群の才能、でも人見知りが激しく、「使いにくい」と敬遠されることもある彼女。いやいや、わたしにとっては、「自分は一人で闘っている」のだということを知っており、「自分を愛する」ことを知っている、素敵な人だ。誰からも愛されようとする女優より、よほどわたしには潔く思える。そういう人が本当に感動してくれる時、作った者の方も感動できるものだ。

●膨大な「紙葉の家」をちょっと置いておいて、ネットの本屋から届いた、いしいしんじ氏の処女長編を、朝から読みはじめる。たぶん、今夜中に読み終えるだろう。
「まさに今求めるタイプの本に、その時その時巡りあってしまう」というのは、幼い頃からずっと本好きでいたわたしへの、神様のご褒美だろうか?
 いしい氏の語るものがたりは、乾いたわたしの精神に、きらきらと陽に光る清新な水を、ひたひたと注いでくれるようだ。
 帰りの電車の中で読みふけり、涙がこぼれて、サングラスをかけて隠した。いらぬ涙を廃棄して、きれいな水を自分の内に新しくたたえたい。


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