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2003年03月21日(金) 渡英1日前。

●休みの間、確信犯的に仕事をせず、本ばっかり読み、うだうだとあれやこれや考え過ごした。しかしその猶予期間もタイムアップ、さすがに向こうでの仕事に備えて、台本の整理、旅の支度を始めた。出発は23日の朝。あと24時間後だ。目の前には、やることが山積み。マックのデスクトップにやることを書き出し、クリアしたものを消しながら時間を過ごす。

●まわりの多くの人から、「本当に行くの?」と聞かれる。確かに多くの問題を孕んではいるが、行くのだ。
 ロンドン側のスタッフは、何の問題もないよ、と言ってきている。
 プロローグエピローグで、「傷ついた、五体不満足な人間たちによって演じられる物語」という大枠を持ち、舞台装置は、たくさんの銃痕が開いた壁に囲まれた世界。そんな芝居を持っていくことを、なんと「タイムリーだよ」と言ってきている。
 でも、そんな呑気な話なのか?
 それとも、芸能者というのは、それくらいの思いで現実とつきあった方がいいのか? 現実と拮抗する虚構を生み出すために。

●しばらく寝て、起きたらまた仕事。次ぎに寝るのは、きっと飛行機の中だ。

●それにしても、戦争報道を見るのは苦しい。
 民間の人間が、これほどまでに納得できず、違和感を感じているのだ。明々白々に。ブッシュの、フセインの、小泉の、口元を眺めながら、歪んでいく世界を思う。その口から出たことばが、これからどんな不幸を呼ぶのか。危惧しながらも、何もできない。世界各国で、多勢の集まるデモが起こっているけれど、たくさんの口は、一人の口にかなわない。
 いったい、何が出来るというのか、わたしたちに。

 さっき書いたことと矛盾してしまうが、結局わたしは、「だから芸能者として生きる」というところに、戻っていく。


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