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| 2003年04月12日(土) |
時のお腹は蛇腹です。 |
●雨、ということもあって、またまた「何もせずに休む」のだと決める。何しろ、昨年の12月から、土曜も日曜も祭日もなく働いてきたのだ。「何もするな」と自分に命じて、さて何をしようかと考える。
ロンドンにいく前に英語の復習をちょっぴりして行ったのに、うまく言葉が出てこなかった悔しさを思いだし、「そうだ、今日は1日英語の勉強をするのだ」と決める。1日やっただけで何になるんだと自らに切り返してみたものの、自分の中に確かに棲んでいる前向きなわたしが、「1日にどれだけ単語を覚えられるかやってみたら?」と問いかけてきた。
なんだか地道に、ひとつひとつ単語を覚えはじめる。思いだしはじめる。使った単語集には、赤いチェックシートがついていて、なんだか受験時代に戻ったみたいで、ゲーム感覚。ちょっと飽きて、新しいWindowsに、すでにMacで使っていた「英辞郎」という辞書ソフトをインストールしてみたら、あらびっくり、Macで使っていた時より、数倍の機能が使える。なんと、英文を読んでいてわからない単語が出てきたら、その単語を選択するだけで意味をポップアップ表示してくれたりするのだ。 悦にいって、読みたいけれど面倒だった英文をMacから移してきて、読みふける。学習にはならないが、ストレスなく英文が読める。 これは素晴らしいやと感動しながらひとしきり、敬愛するRaimond Carverの評論など読み、疲れたらまた単語学習へ。
1日が終わってみると、うーん、どれだけのことばを修得したやら。でも、少なくとも、昨日のわたしよりは語彙が増えている。 勉強する喜びって、これくらいの歳になってからの方が分かるのかしら?
●恋人は、帰国後も忙しく立ち働いている。今夜11時くらいに仕事が終わるだろうから遅い食事でも、ということになっていたが、電話がかかってきたのは午前1時半。結局、会えないことに。元気であれば、何時だってタクシーを飛ばして会いにいくのだけれど、彼はくたくたに疲れていた。仕方ない。 食事を我慢して待っていたので、深夜に軽くお腹を満たす。 淋しいのは事実だが、秋から彼はもう日本から消えてしまうのだから、と厳しい現実を思い起こし、一人の時間を楽しもうとする。
待っているうちは、一人でも十分楽しいのに、もう待っても仕方ないのだと分かった瞬間、一人が辛くなる。どちらも、状態としては同じ「一人」なのに。
堀口大学氏だったか。「待つ身の長さ/会う身の短さ/時のお腹は蛇腹です」って詩があった。高校生の時に読んで、ずっと覚えている。この詩に読まれた恋する気持ちは、十代でもちゃんと分かった。だから一度読んだだけで、忘れずにいた。そして、今まで何度となく、そんな気持ちを繰り返してきた。恋しているってことにおいては、わたし、あの頃からそんなに成長してないのかもしれない。
●さあ。明日、目が覚めたら、完全に仕事モードに自分を変えよう。予定通り、明日一日中デスクワークをし、あさって朝、大阪公演に出発する。
※HP Etceteraに「改悛のマクダラのマリア」をUP。
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