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| 2003年05月02日(金) |
終わりを前にして。雑感。 |
●ラスト3回のマチソワ前だっていうのに、わたしは1時間寝たところで、大変な悪夢を見てしまう。母が、本当に悲惨な目に会う夢。気も狂わんばかりに飛び起きたのが5時。そんな時間に電話をかけるわけにもいかないので、いつも連絡しないことを詫びるメールを送る。そしてそれから、眠れない時間が延々と……。 わたしは大事な人を大事にすることが、とっても下手な人だ。今大事にできてるのは恋人ただ一人で、それ以外の大事な人を、ちっとも大事にできない。不器用といえば不器用だし、駄目な人間といえば、駄目な人間。 で、読みかけの白石一文を読み続け、出勤時間を迎えた。
●地方で仕事をしてみると、思いがけず素敵な職業人に会うことがある。 今、客席案内のリーダーをやってくれてる女性が、まさにそんな人。客席からガンガン俳優が登場するため、面倒な客止めをいっぱいこなさなければいけないのに、一度稽古を見ただけで、しっかりと把握し、また、伝えるべきを使っている人間に伝えるのが、すっごくうまい。そして、わたしが恐縮してしまうほど、その仕事に燃えてくれる。また、その姿がまわりから、実に生き生きと楽しそうに見える。長く大変な仕事の最終地で、こういう人と仕事をできるのは、本当に楽しい。 何処に根付いて働いていようが、素敵な人はたくさんいる。たびたびこういう出会いをする。それは、とても幸せなこと。
●大千穐楽を控えて、みんな「とうとう終わるんだ」と、長い仕事の締めくくりの時が来たことを、同様に感じている。 開演時、すべての俳優が客席から登場する。一人一人、客席通路の上から下へ下っていく。そのいちばん上に、毎日わたしはいる。最後に下っていく60代の大女優が、出番の前に闇の中でわたしの手を握る。高揚していて、とっても手があったかい。わたしも、「いってらっしゃい」という思いをこめて、握り返す。そんな一瞬が、苦労だの疲れだのを帳消しにしていく。 ショーほど素敵な商売はない。それは本当だ。
●さてさて、いよいよ明日は5ヶ月にわたる仕事のしめくくり。今夜はしっかり寝なくっちゃ。
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