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| 2003年05月09日(金) |
今日もどきどきわくわく。●永遠の出口(森絵都) |
●長いことこの仕事をしているが、バレエ団のスタジオに足を運んだのははじめて。しかも、そこに名だたる踊り手と振付家が介しているのだから、緊張するのは当たり前。 土足でいいですよと言われたが、敬意をはらって、持参の稽古場靴に履き替えた。 稽古は、振りが入ってしまった後のブラッシュアップの段階。何度も振りを繰り返しつつ、振付家の細かいチェックが入り、踊り手同士でお互いの息を確認していく。息の詰まる凝縮された稽古。 5分の曲の間、3分は、女性と男性がほぼ体のどこかを触れあわせたまま。その間2分は、男性はリフトにまわっている。体中の筋肉は常に緊張と収縮を強いられているのに、わたしの目に見える体の線は常に柔らかい。瞬間的な力が入るときも、動きのしなやかさは止まらない。 違う土俵で闘う人々を見るのは、なんと楽しくわくわくすることだろう。俳優やジャズ系の踊り手、ミュージカル系の歌い手とは、仕事の中でたくさん知り合ってきた。でも、あまり出会わないバレエダンサーやオペラ歌手たちとの出会いは、ちょっと素人感覚でどきどきしたりする。もちろんしばらく見ていると、同じクリエイターとして、その表現の根っこを探る目が活動を始めるのだけれど。 なんにしても、刺激的な時間を過ごした。
●一気にやる気が立ち上がり、コンサートの楽曲整理にいそしむ。歌い手と踊り手がはじめて合流するあさってのリハーサルが円滑に進むように。
●森絵都氏の「永遠の出口」読了。 小学生時代から高校卒業までの、少女の心の動きを活写する。まさに、活写。あらゆる感覚が懐かしい。あらゆる感覚に共感する。女の子なら誰でもこれを自分の物語だと思って読むのではないかと思うほど。 大イベントであったお誕生日会も、はじめて理不尽の恐怖を知らしめるファシスト教師も、初恋も、反抗期も、家族旅行も、初デート初恋愛も、初アルバイトも、あらゆることが、飾りのない実感から描かれている。 一人であること、家族の一員であること、学校の生徒であること、恋人同士のかたわれであること、時期々の仲間の一員であること。 そしてまた、そのすべての立ち位置から、逃れようとすること。
実に当たり前でありふれた存在の主人公が、ありふれた人生を、一喜一憂しながら、かけがえなく生きていく姿を追いかけるのは、実に実に爽やかなことだった。 また、お友達みんなに奨めたい1冊に出会ってしまったなあ。
※久しぶりに、HP Etcetera更新。
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