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2003年05月10日(土) 今、ここにいると……。

●ほぼ半日、写譜ソフトと格闘する。
 Finaleとか、いいソフトは出ているらしいが、如何せん高い。で、Melody Assistantというフランス製の安価なソフトを使ってきたが、何の問題もなく動作していた。大の採譜好きであるわたしは、仕事で「楽譜に起こしておいたら便利だろうな」と思えるものはすぐに採譜してしまう。このソフトと出会ってからは、ほぼゲーム感覚の趣味となってしまった。五線にさくさくと音符だの休符だの乗っけていくと、自動演奏してくれてチェックも簡単。大好きな作業のはずなのだが……。
 今日起こそうとしていたのは、朗詠。1小節が23拍とか31拍とか、毎小節ごとに違うんである。マニュアルを読んでも読んでも、そんな設定の仕方、出てきやしない。だいたい西洋にて起こった平均律では、そんな楽譜を書くことなどあるわけないのだ。それを無理矢理いじくり、様々なチャレンジをしていたら、もう20回はフリーズの憂き目にあってしまった。なんとも無駄な時間を過ごすことに。あーあ。
 誰が見てもそんなに手間がかかったとは思えないだろう楽譜を携えて、明日は最終稽古へ。14日まで、稽古、仕込み、舞台稽古、本番、本番、バラシ、仕込み、本番、バラシ、と、怒濤の時間が続く。2日は眠れないな。

●昨年の今頃、わたしに求婚してくれた心優しき男性は、奥さんを失ってから、ずっと一男児の立派なお母さんがわりをつとめている。どんなに仕事が朝早くても、きっちり朝ご飯を作り、お弁当を作り、夕御飯の下ごしらえをすませてくる。とにかく、すごい人。
 母の日に、プレゼントを贈ろうと、Amazonでルイス・サッカーの「穴」をお届けする。親子で読める、最高の一冊だ。
 ところが。間の抜けたわたしは、受取人が代引きで支払うように申し込んでしまったのだ。……そんなのプレゼントでもなんでもありゃしない。
 陳謝陳謝のメールを送ったら、ちっとも怒っておらず、仕事帰りの道道を「プレゼントきてるかな」と楽しみに帰るという返信。
「いい人だ。いい人過ぎる……」とつぶやきながら、昨年、一度は結婚しようと決めながら、やっぱり今の恋人の元に戻ってしまった自分を思い起こす。
 今、ここにいると、何が正しいかなんてわからない。今、ここにいると、何を選ぶべきかなんてわからない。せめて無様に生きないために、考えられる限りの問いかけを自分に浴びせてみるだけ。
 恋人は九月になると、パリに発ち、長らく離れていた奥さんと、また暮らしはじめる。


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