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2003年07月17日(木) 読書熱おさまらず。●村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ(三浦雅士)

●ああ。またしても読書にうち興じて、夜を明かしてしまった。今日は三浦雅士氏の「村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ」。
 氏の「青春の終焉」に、評論を読む喜びを覚えたのは、確か昨年の春のこと。今回も本屋に並ぶのを待っていた。
 そしてこれが面白い。村上春樹翻訳作品を、柴田元幸作品を、追っかけてきたわたしには、自分の青春を読み直すくらいの時間旅行ができた。現代アメリカ文学翻訳作品として横一列に並んでいたものたちが、一気に時系列で、或いは作品の持つ「声」で、縦に縦にと積み重なり、自分が生きてきた時代を再確認した感じ。三浦氏の解き明かしだの推論を読むことは、砂金に磁石をあてるような快感がある。
 強引過ぎるまとめ方や突っ込みすぎに、ひいてしまうところもあるのだが、そんなことはなんのその。三浦氏の興味が自分の興味と重なり、なんだか一緒に夏休みの自由研究に没頭するような気分で一夜が過ぎた。それもこれも、やはり、村上氏と柴田氏の翻訳する作品をほぼすべて読んでいるからだし、ほぼすべて、色んな意味でひっかかってきたからに違いない。となると、そこに見えてくるのはやっぱり、自分だったりするわけで。

 なんだか、自分の成り立ちってものを、自分の興味の所在から読み取れる資質ってものを、考えてしまう夜でもあった。今は眠いからとても書けないけれど。

●「磔のロシア」っていう、スターリンと様々な形で闘いつつ表現活動した人々の本を次に読むつもりだったのだが、三浦氏の評論で、ずっと前に読んだスチュアート・ダイベックが気になって気になって仕方なくなり。でも、書棚になかなか見つからず、しばし探索。奥の奥の方に隠れていたほこりだらけの本をようやく見つけ出して、今からこれを手にベッドに入る。
 読書熱おさまらず。

●今度の土曜日、ようやくGOに会いにいけそう。A家の台所の使い方をA氏に教わり、これからA氏の忙しいときは、わたしがA氏父とGOに食事を作りに行けるようにする計画。そろそろ次の仕事の準備がわたしの休暇時間を脅かしてきたが、GOとゆっくり知り合っていけるのは、今のうち。現場に入るまでは、仕事は効率よく片づけて、読書と結婚の準備に明け暮れよう。
 それが、自分の現在を知ることにとっても近いってことを、最近感じている。


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