夜、月を見ながら。
目次|過去|未来
学生時代、毎日のように自転車ぶっ飛ばしていた通りを、
本日は心穏やかに少し大人ぶりながら、やはり飛ばして
通った時、とある場所のぼろっちい建物に目が止まり、
それは印刷会社なのだけれど、学生の頃見た記憶が無く
て、でも古い建物だから昔からそこにあって、僕はやは
り見ていたはずで、だから、人間の「見る」という行為
はつくづくいい加減なもんだと、そんなことを考えなが
ら、自転車飛ばしていたら、目を閉じていたわけでもな
いのに、僕は今さっきまで見ていた景色を思い出すこと
ができず、そんなわけで苦笑いしてみた。
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