夜、月を見ながら。
目次|過去|未来
僕は3つのサボテンを持っていて、彼らはとあるバイト
を辞める際、餞別としてもらったもので、いまだ枯れる
ことなく健在なのは、僕の世話が適切なものであったか
らと言うのではもちろん無く、ひとえに彼らの強靭な生
命力ゆえのものだろう。なにしろ僕は彼らに水をやった
記憶がここ数ヶ月無い。寒い日もベランダにほったらか
しだ。しかし、彼らは何事も無かったかのようにただそ
こにいて、沈黙を守りながら、その身を大きくしていく。
どこまで大きくなるのか多少不安ではある。だが、彼ら
は僕の誇りだ。
|