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薔薇の花を背負った行商人。 てとてと歩く。 とてとてとて。 「はーなぁいかがっすかー、きれーなはないかがっすかー」 籠にうんしょっ、赤い薔薇。 道の並木の木陰の下で、栗鼠さんがそれを見てました。 「なんてきれいな花でしょう」 「はーなぁいかがっすかー、きれーなはなはいかがっすかぁ〜」 「ひとつくださいな」 「ハイ、胡桃みっつになりやす」 行商人は背負った籠を地べたに下ろし、薔薇を吟味すると、そっと栗鼠さんに差出しました。 「この薔薇は花瓶に水がなくても七日は綺麗なままでいるよ。」 「ありがとう」 「アリガトウ」 ふたりとも、にっこり笑って別れました。 うんしょっ、背中の籠をしょいなおして、行商人は歩いて行きます。 |
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