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背中に背負った籠はね、竹で編んだ籠。 担ぐトコはね、布をよってあるんだ。 籠にはね、水なんか入ってない。 だって籠だもの、水なんか入れたら漏れちゃうよ。 それでも薔薇は綺麗に咲いているんだ。 赤い薔薇ばかりを籠に背負って、行商人は歩いていく。 そんで、なぜか乾燥芋も売ってる。(笑) お代は様々で、胡桃だったり、林檎だったり、団栗だったりする。 もちろんお金の時もあるよ。でも通貨も様々なんだ。 だって行商人は歩いているんだもの。 大きな声で花はいらんかと呼ばわって、出会う人に花を売る。 その人のために花を選んで、そっと渡す。 ラッピングはしないよ、そのままの薔薇を渡す。 別に、リボンをかけなくても美しいから、とか、そんなポリシーなんかじゃないよ。 歩いていくのに、邪魔だろ?そういう付属品って。 行商人はそりゃ自分の薔薇に自信を持っているようだけどね。 ときどき、背中の籠をしょいなおす。 薔薇がわさっ、と揺れる。 ばらのにおいって、どんなだったっけ? |
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