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ボクの前でリードを振った。 僕の前でしっぽを振った。 首輪にリードを繋ぐ、しっぽは振り切れそうになる。 行こう。行こう。早く。早く。 靴ひもを結びなおす。 じれったい。でも待ってる。ボクいい子。 ガチャン、自転車のカギを外す。カラカラと車輪が回る。 今日は自転車?ボク走っていい? 「行ってきまぁすっ」 メタリックブルーのマウンテンバイク。こないだの誕生日に買ってもらった。 その横をボクは走る。 ちらっと横をみる。黒い背中の毛が揺れてる。 アスファルトの上を走る足音。ちょっとツメが伸びてるのかもしれない。 「今日は少し遠くまで行こう」 荷物は持った。 コイツのトイレ用具。ペットボトルにつめた水。フード少し。それから僕のサイフ。 自転車は止まらない。 ボクの足がすこしゆっくりになる。それから止まる。 「こっちだよ、今日はこっち。・・・つかれた?」 違うよ。そっちじゃないよ。あっち! 「じゃぁ、僕も少し歩いてく」 ボクたちは一緒に歩いた。結局、こっち、に向かって。 遅くなった。もう暗い。 僕たちは歩いたり、走ったり。休憩しながらここまで来た。 知らないところを行くのは楽しい。でも、暗くなるとさみしい。公園のブランコ前なんて、なおさらかもしれない。 「もういいかな?」 尻ポケットに入れたケータイを出す。メール以外は、実はあんまり使わない。 宛先:おかあさん 件名:誘拐 本文:オマエノムスコハ ユウカイシタ。イチオクエンヨウイシロ なんで件名が漢字かと言うと、ユウカイ じゃカッコ悪い気がするから なんで本文がカタカナかと言うと、その方が雰囲気でるだろ? 送信。 液晶のバックライトが光る。紙飛行機が飛んでいく。 おなか空いた。 ボクが訴えると、ちょびっとばかしのドッグフードを出してくれた。 ボクはもう二歳になるんだけど。。。 食べ尽くしておかわりをせがむ。 足りない。足りない。ガウガウガウ。 ドッグフードはもう出てこなかったけど、ボクの頭の上に手が置かれた。 地べたに座っているから、ボクも横に寝そべることにした。 膝の上に顔をのせる。 ごはんが出てこないなら、膝の上にヨダレをたらしてやる。 さすがにちょっと疲れた。これ以上は走れない。 僕はとがった耳の間に手を置いて、そのまま後ろへ撫でてやる。 ふさふさした毛並みが気持ちいい。 「お前がいたから、ここまで来れたな」 それから、懐中電灯の明かりが僕らを照らすまで、そこから動かなかった。 僕たちは寝てたんだと思う。 浅い眠りの中、たぶん自転車をこいで、もっと遠くまで行っていた。 懐中電灯なんかに、見つからないところまで。 ・・・・・・★・・・・・・★・・・・・・★・・・・・・ んーっと。 犬はシェルティのトライをイメージして書いてた。 てんゆもちっさいころに犬がいたら、一緒に遠出してたかもしんない。 でも、てんゆはコイツらほど根性がない子供だったと思うので、きっと途中でザセツなんかしてたと思う。 帰り道の心配とか、そんなん考えちゃうと、遠くへなんて行けない。 虎鉄と散歩できたら楽しいだろーなぁ〜 |
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