こしおれ文々(吉田ぶんしょう)

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2004年03月05日(金) 吉田童話その�� 403人の小さな村(第3部)

Aさん、Bさん、Cさんが交代で一番えらい人になるため、
60歳のおじいさんになったビリーは
残りの人生を、何不自由なく暮らすことができました。

400人の村人も、争いもなく平和に暮らすことができました。
・・・そう、ビリーが生きてるうちは。


【村の人口は400人になりました。】


ついにビリーは死んでしまいました。
山小屋の横に作ったお母さんのお墓に、
一緒に入れてほしいという遺言を残したため、
村人は言われたとおり埋葬しました。

自分たちの近くに、
ビリーを埋葬したくないという気持ちもあったからです。

Aさん、Bさん、Cさんの3人は困りました。
もう選挙をごまかすことできません。
悩んでも悩んでも、考えても考えても
新しい方法は見つかりませんでした。

それぞれがもう、交代での地位にうんざりしていたのです。

結局、3人の話し合いは、物別れに終わってしまいました。
平和だった小さな村は一変、
3人の地位をめぐる戦争へと発展していきました。

小さな村での戦争は、長い間続きました。
兵士として駆り出された大人は、
大人も子どもも関係なく殺しました。
家も、畑も、お墓も、
何もかも焼いてしまいました。

結局、すべての村人は死に、すべての家は焼かれ、
焼け野原となった大地だけがそこにはありました。


【村の人口は0になりました。】


戦争によって小さな村はなくなってしまいました。
ただし、外れにある山奥の、小さな山小屋の横では、
お墓が一つ、夜空を眺めているかのように、
いつもでもいつまでも、残りましたとさ。


めたしめでたし。

〜403人の小さな村  完 〜


2004年03月04日(木) 吉田童話その�◆。苅娃蛙佑両�さな村(第2部)

山小屋での生活が始まってから
月日は流れ、ビリーはいつしか、
60歳のおじいさんになっていました。
村人は、ビリーのことなどすっかり忘れていました。

そんなある日のこと、村で大変なことが起きました。

村のえらい人たちのなかでも、
特に一番えらい人が死んでしまったのです。


【村の人口は401人になりました】


えらい人たちは、あわてて話し合いました。
話し合った結果、選挙をして、一番えらい人を決めることにしました。
立候補したのは、Aさん、Bさん、Cさんの3人です。

村人401名のうち、大人は301名だったので、
3人はそれぞれ自分に投票してくれる人を集めました。

まずAさんは100人集めました。
Bさんも同じく100人集めました。
最後のCさんも、同じく100人集めました。

残りの1人、それが山小屋に住んでいるビリーだったのです。
ビリーが誰に投票するかで、一番えらい人が決まるのです。

Aさん、Bさん、Cさんの3人は、
そろってビリーの山小屋へと足を運び、こう言いました。
まずAさんは
『私に投票してくれたら、
 美味しい食べ物をたくさんあげよう』
つづいてBさんは、
『私に投票してくれたら、
 キレイな洋服をたくさん買ってあげよう』
最後にCさんは、
『私に投票してくれたら、
 ステキな家具をたくさん揃えてあげよう。』

ビリーは困りました。『誰に投票すればいいんだろう?』
悩んでも悩んでも、考えても考えても、
ビリーは決めることができません

ちっとも決めることができないビリーを見て、
3人はまた話し合いました。

『そうだ。これからは毎年選挙をしよう。
 そうしてビリーの票を交代でもらえば、
 私たちは交代で一番えらい人になれる』

ビリーが決めるまでもなく
3人はそう約束すると、山小屋から帰っていきました。

最初はAさんがビリーの票をもらい、
一番えらいひとになりました。
約束どおりビリーは、
Aさんから美味しい食べ物をたくさんもらいました。

次の年は、Bさんがビリーの票をもらい、
一番えらいひとになりました。
約束どおりビリーは、
Bさんからキレイな洋服をたくさん買ってもらいました。

そのまた次はCさんがビリーの票をもらい、
一番えらいひとになりました。
約束どおりビリーは、
Cさんからステキな家具をたくさん揃えてもらいました。

そしてまたその次の年はAさんが・・・
といったふうに続き、
ビリーは食べ物にも、洋服にも、家具にも困らなくなりました。

こうしてビリーは、残りの人生を幸せに暮らすことができました。

400人の村人も、
争うことなく、平和に暮らすことができましたとさ。

・・・つづく。


2004年03月03日(水) 吉田童話その� 。苅娃蛙佑両�さな村

昔々あるところに、人口403人の小さな村がありました。
村人たちは、時折いがみ合うときもありましたが、
表面的には平和で静かな村でした。

そんな小さな村に、
ビリーという、知能が遅れた少年が、
お母さんと二人で住んでいました。
ビリーはその知能遅れのせいで、
近所の子どもたちによくいじめられました。

いじめられ、泣きながら帰ってくるビリーに、
お母さんは、
『泣くことはないのよ。ビリー。
 あなたはほかの人より純粋なだけなの。
 これは神様があなただけに与えてくださったステキな贈り物なのよ
 お母さんは、あなたのその純粋なところが大好きよ』
と、優しく慰めてくれました。
そしてビリーが大好きなシナモンケーキを作ってくれました。

そんなお母さんの優しさに包まれ、
ビリーはすくすくと成長しました。

月日は流れ、ビリーが20歳になったとき、
彼にとても悲しい出来事が起きたのです。
あの優しかったお母さんが、病気で死んでしまったのです。

ビリーの前ではいつも笑顔で優しかったお母さんも、
実はビリーのことで差別を受けていました。
仕事を探しても、知能遅れのの母親というだけで断られ、
見つかっても、すぐクビになってしまいました。

お母さんは元々病弱だっただったにもかかわらず、
女手一つでビリーを育てるため、
寝る間を惜しんで一生懸命働きました。

その無理がたたって、病気となり、
ビリーを残したまま、帰らぬ人となりました。


【村の人口は、402人になりました。】


お母さんが死んだことで、ビリーの生活は大きく変わりました。
いったんは親戚の叔父さんのところに預けられましたが、
あからさまな厄介者扱い。
暴力を振るわれたり、食事も満足に与えられませんでした。

それだけではありません。
村人のビリー対する差別もエスカレートしました。
指をさされたり、バカにされたり、
石を投げつけられることもありました。

でもビリーは、泣けば天国のお母さんが悲しむと思い、必死で耐えました。


そんな生活が一年ほど続きましたが、ついに親戚の叔父さんは、
ビリーを預かることすら放棄したのです。

見かねた村のえらい人たちは、ビリーの受け入れ先を探しました。
しかし、小さな村に孤児院のような施設はなく、
かといって代わりに世話をするという村人も現れませんでした。

困り果てた村のえらい人たちは、
とうとうビリーを村の外れにある山奥へ追いやったのです。
小さな山小屋に、ビリーは独りぼっちで住むことになりました。

最初はとても不安でしたが、
山の動物たちと友達になって、一緒に遊んだり、
夜、星空を眺めたりと、
次第に山小屋での生活も楽しむようになってきました。

というより、山小屋での生活は、
バカにされたり、傷つけられることがないため、
彼にとって、とても幸せでした。


山小屋での幸せな生活は続き、
いつしかビリーは60歳のおじいさんになっていました。
村人は、ビリーのことなどすっかり忘れていました。

そんなある日のこと、村で大変なことが起きました。
そしてその出来事によって、ビリーの生活は、
また大きく変わるのでした。

・・・つづく。


管理人:吉田むらさき

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