道沿いに忘れもの。私はそれを拾うべきか迷って立ち止まった。雨が。水溜りが。うるさくて泣きたかったのだけど今はそれを忘れて。迷っているところ。指先で触れるとその忘れ物はとても懐かしい匂いがする。涙だけが頬に暖かくて。雨が降っていることをまた思い出した。後ろの足跡には雨水がたまっていく。