遠い、目をしていました。透明な、声をしていました。それは夕方のことでした。月は青と紫の間に浮かび白く雲が散る少し肌寒い日でした。黒い鳥の群れが海を渡った瞬間。彼は大きく空を見上げました。私はその姿を見ていていつまでも焼きついて離れず宇宙の時間に刻まれてしまった彼を思い出し永遠を思うのです。きっとその時、風が吹いていた。雨は柔らかに降り続け、私はそれを肌に感じながら生き続けるのかも知れない。