西の街から来た人は複雑な線路に乗って私のいる街に来た。無気力だった私は5月の新聞からはらりと床に落ちたチラシを手にしてあまり行きもしない隣の隣の隣の街へ電車に乗ってでかけた。決められた白い部屋の椅子には誰も居なかった。ドアを開ける。一人だけ言葉が変だとか。思ったりして。お昼の食堂で手にしてた紅茶。も。年上だって驚いた顔も。すごく心を冷たくして生きていた時期でもあったことも。そういうことを11月の真ん中に立って思い出し、安堵に寄りかかって眠くなったのです。