海辺の村の夢を見ました 私は桟橋の上で光る小魚を見ていました 日焼けした幼馴染の少年がやってきて 隣に腰掛け 私たちは足をぶらぶらさせながら 太陽の下で笑いました
この桟橋の向こうに広がる果てしない海と空を目の前にして 世界はなんて穏やかで美しいのだろうと思ったものでした
おじいさんは釣りをしながら眠り おばあさんは白髪交じりの黒髪をきゅっと丸め赤い服を着て元気良く歩き 三毛猫は白い塀を軽やかに歩いていました 小さな少年は深く透明な海を泳ぎ回り 少し大きな子供たちは大人と一緒に釣りに出かけてゆきます。
平和な村の生活音と波の音は 音楽のように幸せで 私たちは世界を見渡しながら聞き入りました
海の匂い、波の音、太陽の光と世界の可能性を感じながら 私は瞼を開き現実に帰りました。 ここは、とても、かわいそうな、狭い世界なのです。 目が覚めるだけで、胸がつまって溜息をつかなければいけないほどに。
だけど こうして毎日を乗り越えられるのは この胸の、頭の、体の、血液の、記憶の深いどこかに 輝く海が広がっているからなのです | |
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