便蛇民の裏庭
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母さん今日で50歳。
でもね。 どうもそう思えない。 ぼくの記憶にあるのは、まだ20代、30代の姿。 だから、たまに会うと、あぁ、母さんももう年なんだろうなぁとは思う。
こないだ一緒に買い物行ったときは 母さんの前歯がなくなってて 歯を磨き過ぎて(異常に磨く)薄っぺらくなってるところに つくねかなんかそういうやわらかいもの齧ったら折れただなんて おかしくておかしくて大笑いしたけれど そんだけ骨や歯も脆くなってきてるってことなんだろうかね。
子が入園をひかえている。 着る物は用意したのかと訊くから、まだだと答えたら
「スーツ作ろうと思って買った布地あるからそれで作ればいいでしょー」
待て。 それは多分、紫だな?
「紫だよーきれいな色だよー」
いや、紫は悪くはないさ。 でも、幼稚園の入園式に、子が着て行く用の色かどうか。
「じゃぁ紫のレース買ってさ、フリフリにすればいいでしょ」
レースはいいさ。 でもなぜ紫。
いや、紫は悪くない。 ぼくも好きだよ。 でもさ。
「あぁ。靴かい?そうだねぇ、紫の小さな靴ってなかなかないねぇ」
紫の靴である必要は・・・ いや、まぁいい。
「そういえばあんたに服買ってあるんだよ、今度取りにおいで」
・・・また乗馬ズボンのようなのとか、 立ち襟フリフリウエストシェイプとか、 ちょうちん袖の下からすそ広がりのフリフリとか アセテートーのキラキラシャツとか、 すごいアニマル柄とか・・・
いや、まぁいい。 ありがたく受け取るよ。
「だってあんたに似合うと思ったんだもん」
・・・母さんありがとう。 ぼくも母さんに、何かプレゼントしたいけど、 何がいいかなぁ。
また、花でも贈ろうか。
何がほしい?
「あんたが健康で、幸せでいてくれたら何もいらない」
あぁ・・・ そうなんだ。
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