便蛇民の裏庭
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迎えにくるはずだった友人から、電話が。
「ごめーん、いけなーい、うふっちゅーーーーーっ」
こんな泥酔加減の彼女は見知らぬ人。
「便ちゃんタクシーで来い、タクシー代出すからぁん」
「今どこにいんの?」
「他のトコー」
「(行きつけの店には)来れるの?」
「んー、いくいくーいっちゃうーーーーーー」
壊れてます。
「まさかおぢちゃんと飲んでる?」
「うん。でも便ちゃん嫌がるから捨てていくー」
待ち合わせの店で待つこと30分。 ようやく現れた彼女はかなりの酔っ払い振り。 今まで見た中で3本の指に入る。 いや、トップだ。
彼女のケイタイにメールが。 返信する彼女。
「うわー、返信かえってこなーい。直接ここにくるかもー」
ゲラゲラ笑っている。 そして数分後に現れたおぢちゃん。
「実はあたしー結婚してるんでーす♪」
彼女が結婚指輪をしているところを初めて見た。
そっか。
今まで『未婚』として遊んできた人たちに お別れの儀式して歩いてたんだ。
彼女は、泣きそうな顔で笑ってた。
「便ちゃん、やろ。今日はイクとこまでイっちゃお! あたしの指テクで潮吹かせちゃうぞっ!」
「ぼくはきみとは寝ないよー」
「いやーんケチケチー」
いつものおふざけじゃない。 彼女は人の体温を恋しがってる。
ぼくは彼女のそばにいてあげることはできるけど 朝には家に帰らなくちゃいけない。 彼女が旅立つまでずっと抱きしめてあげている事は出来ない。
彼女は別居していたご主人の元へ帰る。
揺れて揺れて、 気持ちがぐらぐらになりながら決めたこと。
ぼくは彼女と朝まで過ごすハズだった最後の夜を 諦める事にした。
エロおやじがエロじゃない状態で彼女を連れて帰った。 後姿が切ないエロおやじだった。
行きつけの店のマスターは その時初めて彼女が既婚であった事を知って
「ぼくは口が軽いと思われてたんですかね」
と、少々怒ってた。
「マスターがみんなにいらぬ嘘をつかずに済むように って思ってたんでしょきっと」
ぼくはマスターと朝ご飯を食べながら 今度彼女に会えるのはいつかなーと考えてた。
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