便蛇民の裏庭
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2002年05月25日(土) 美味しい酒とゆったりした時間と

いつも誰もいないお店に、珍しく客がいた。

「こんばんは。お久しぶりです」
「いらっしゃいませ。お一人は初めてですね」
「彼女がいなくなっちゃったからねぇ。コレ、差し入れ。蛸の頭です」

なぜかうちにどんどんどんどん届く蛸の頭。
確かに美味いんだけど冷凍庫がいっぱいになってゆくよ社長・・・・

「いつものですね?」
「はい、いつもので」

最初の一口で思わず微笑んでしまう。

「その顔を見るとすごく嬉しいんですよねー。冥利に尽きます」

TV画面では音のない尾崎豊のライブ映像。
店内では別な音楽がかかっている。
若い女の子に偉そうにウンチクたれてる男の声が耳障り。

いつもはぼくと入れ違いに帰ってしまうスタッフくんがいた。
金曜は早上がりではないらしい。

「蛸、稚内のは大きいですよね」
「そうなの?それは某所のなんだけど」
「あ、そうなんですか?ぼく、実家が某所ですよ」
「え?そうなの?GWに行ってきましたよ」
「某所行ったって何にもないじゃないですか」
「何もないのがイイんですよ。島に行こうと思ったんだけど天候悪くていけなかったの」

名刺をもらうと珍しい苗字。高校の時、同じ苗字のオトコノコがいた。
きいてみると、その子と親戚であるらしかった。
世の中って狭すぎるかも。

「失礼かもしれませんが、便さんっておいくつなんですか?」
「29ですよ」
「うわー、見えないですねぇ」
「年齢不詳だからね」
「同じくらいな気もしたんですけど、でも落ち着いてるし・・・と思って」
「おいくつなんですか?」
「23です」

あぁぅ・・・
マスターが2歳年下ってのも驚いたけど君もそんな年齢にはなかなか見えないぞっ。



たまにメールをやりとりしながらゆっくり飲んでいた。
すると彼女から電話が来た。
彼女の声をきいた安心感からか、電話を切ったあと一気に酔いがまわりだす。

「おや。便さん、今まで見た中で一番酔ってますね?」
「そのようです」
「飲んでる量はいつも通りですよね」
「そのようです」

ウォッカのソーダ割4杯、モスコミュール1杯、ボストンクーラー1杯。
野菜スティックを齧りながらいつも通りのペース。

トイレに立つと、地面が波打っている。
ふらーりふらりとトイレに行き、戻ろうとトイレから出るとスタッフくんが待っていた。

「大丈夫ですか?」
「はい大丈夫です」

いやちょっと実は大丈夫じゃないです。てへっ

いつもならしゃきしゃき歩くのにドアにタックルかましてしまったので
心配して待っててくれたらしい。

「最初来た頃は男性的な人だと思ってたんですけど、今日はとても女性的ですね」
「あ、ぼくも思ってたんですよ、今日は便さんが女性みたいだなぁって」

もしもし?
「女性みたい」じゃなく、一応女性なんでござるよ。
自分でもわかんなくなるときあるけど、多分女性です。

「便さんって、本当はすごく女らしい人なんじゃないんですか?」

んー。なんだろう。
ココ最近、異口同音で何度も出てくるこの台詞。
ぼく、女性に進化し始めてるんだろうか。






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