便蛇民の裏庭
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「ママ、さむいからだっこしてー」 「えーっ、幼稚園より遠いのにーぃ。重いのにーぃ」 「だってーぇ、あそんでつかれちゃったんだもーん」
幼稚園のお友達の家で遊ばせてもらっていたお子をお迎えに行った帰り道。
お友達にもらったシールが貼られた小さなメモ帳を 可愛いビニール袋に入れてもらった。
「ちゃんと持ってなよ。飛んでいっちゃうから」 「うん、だいじだからちゃんともってる」
いった先から強い風が吹き、 お子の手から袋が飛んでいった。
急いで拾おうとした。 風で転がるように飛んでいく袋。
手には傘。 腕にはお子(13kg)
バランスを失った。
お子をかばって転んだらオカシナ転び方をした。 傘を持った手では地面にうまく手をつけず膝と指先から着地。 右手の薬指の先にはどデカイ血豆、膝には打ち身と擦り傷。 少々剥がれた爪。 切っておいてよかった。
心身共にボロボロになりつつ帰宅。 この年でハデにぶっ転ぶとけっこうめげる。
消毒した針を刺してみるけど、思うように血が出てくれない。 搾り出してみた。 けっこう出た。 痛み倍増。
行きつけの店、本日は通常通りスタッフくんが仕切っていた。 お気に入りのやきそばを注文したら、サービスしてくれた。
「あの、お腹空いてます?」
作りすぎてしまったらしい。
「すいません。残したらぼく食べますから」
笹子ともりもり食べたら少しも残りはしない。
閉店頃になるとスタッフくんの学生時代の後輩らしか客はおらず 馴れ馴れしく話し掛けてくるが可愛いスタッフくんの後輩なので許す。
「若い男と付き合いたがってる人妻とかいないですかねぇ?」 「さー。いないねぇ」 「若いツバメなんか飼いたくないですか?」 「すでに一匹飼ってるからいらなーい」
苦笑するスタッフくん。
「便さんの勝ちですね」
勝ち負けだったのかね。
眠くてしょうがない笹子は激しく壊れていた。 でも壊れているのはいつものことなのだ。
窓の外ではカミナリが美しい。
いつもは開け放たれたドアが閉めてあった。 前日はマスターがこまめに換気をしていたのだが 今日は閉められたままの扉。
帰るときに店内を振り返って見て 店内が真っ白く煙っている事にようやく気付く。
どうりで。 照明や煙などにタイソウ弱い便ちゃんの目、 笹子と飲みながら話しながら話の内容に関係なく 定期的に落涙し続けるわけだ。
まだまだだねスタッフくん。ぷっ
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